シユイ、気鋭の作家陣によって引き出された新しい表情 サマソニ出演前に『思惟2』で堪能したい歌の魅力
短期間ながら着実にブレイクへのステップを登ってきたシユイが、自身2枚目となるデジタルEP『思惟2』をリリース。前述の「君君舞」を含む5曲を収録し、作家陣は栗山夕璃、獅子志司、エイハブ、雪乃イト、seeeeecunと、今作もネット音楽シーンに強い作家陣が集結した。
M1「あんたがたどこさ」
「ジターバグ」「ノイローゼ」などを代表曲とする栗山夕璃が制作。様々な表現を持つシユイの中でも大人な面をミドルテンポの楽曲で表現していくかと思いきや、Cメロの〈大丈夫!〉と力強く繰り返すフレーズでドラマチックな転調。雰囲気を一転させ、シユイのフレッシュでまっすぐな一面も感じさせる1曲になっている。
M2「君君舞」
4つ打ちビートと、脚韻をちりばめたリリックの融合によって耳なじみの良さと新鮮さを両立。楽曲を手掛ける獅子志司の過去作「絶え間なく藍色」や「うつけ論争」で確立したスタイルに、シユイの歌声が合わさって、美しくもパワフルな応援歌が生まれた。
M3「ゾンビ」
徒労に絶望しながらも歩き続けることしかできない様子を、ゾンビにたとえた1曲。エイハブは2020年にデビューした気鋭のボカロPで、「シユイさんの今までのイメージとは少し違うところを引き出したい」(※2)とコメント。音域を広く使ったしなやかなボーカルはクライマックスに向かうにつれ力強さを増していき、最後はささやくような歌い方の緩急で心を掴んでくる。
M4「時計のエスコート」
楽曲を手掛けた雪乃イトは、ボカコレでネット音楽シーンに発見された存在。ポップなカワイイ系ロックを得意とするが、声変わり直前の少年のようなシユイの声に合わせて正統派ロックサウンドに仕立て上げた。その一方、随所に光る意外なコード進行やドラム運びの遊び心、また煌びやかなピアノフレーズには雪乃イトの個性が残っている。
M5「不毛劇」
『思惟2』の中で、シユイの歌声の中のパワフルさを最も表現した曲といえる。〈忙しい顔して 考えてるフリすんな!〉〈目開いて前向け!凡庸で構わねえ〉など荒々しい歌い方で、seeeeecunが手がけたダウナーなギターロックを乗りこなし、自身の新境地を示してみせた。メインボーカルに対してキュートな声色の〈右!左!〉の掛け声がユニークで、ライブ映えしそうな曲に仕上がっている。
シユイの剛柔幅広い表現を、珠玉の5曲に濃縮した『思惟2』。名刺代わりと呼ぶにはあまりに奥深く、この1枚でシユイの歌を堪能できるだろう。
※1:https://www.thefirsttimes.jp/column/0000051845/
※2:https://twitter.com/Shiyui_staff/status/1662790829138649088?s=20
■作品情報
シユイ EP『思惟2』
2023年5月24日(水)配信リリース
ダウンロード/ストリーミング
https://smar.lnk.to/0tXDXB
<Track List>
あんたがたどこさ / music, lyric & arrange: 栗山夕璃
君君舞 / music, lyric & arrange: 獅子志司
ゾンビ / music, lyric & arrange: エイハブ
時計のエスコート / music, lyric & arrange: 雪乃イト
不毛劇 / music, lyric & arrange: seeeeecun