梅田サイファー、オーディエンスとの声のぶつかり合いで無限に広がる楽しさ ワンマンツアーファイナルレポ
さらに“前を向いて走った線は 今ここでどでかい円になる”と歌う「環状線」では、繊細なトラックにメロディアスなバースが響き、エモーショナルな空気が流れる。「Show Must Go On」で、〈マネーもねえ パワーもねえ フェイムもレイムもねぇ円の中 ただラップがしたかった〉と歌うILL SWAG GAGAを優しい目で見守る他のメンバーに心が和む。「NO.1 PLAYER」では、人差し指で「1」を表した手を、ステージとフロアの全員で掲げる光景が見られ、実に壮観。会場にいる全ての人が気持ちを一つにした瞬間だ。そしてアルバム『RAPNAVIO』のラスト曲「KILLING TIME」では、軽快なリズムに乗ってみんなが一斉にジャンプ。「UC!(Umeda Cypher)」のコール&レスポンスも湧き起こり、最高潮の熱気とともに本編が終了した。
アンコールは、リズム感をテーマにした「真・リズム天下一武道会」でスタート。KBDによる開幕の合図から、Cosaqu、KOPERUがフックにつなぎ、そこからpekoの熱量、KennyDoesの瞬発力、テークエムの爆発的破壊力を活かしたフロウが投入される流れに、感嘆混じりの大歓声が上がり、KBDも思わず「全員あっぱれ!」と叫ぶ。続いてHATCHによるツアーグッズ紹介を挟み、「Poltergeist」(テークエムのソロ名義曲)を披露。観客がスマートフォンの明かりを点灯して揺らすと、楽曲のテイストも相まって、どこかミステリアスなムードを漂わせる。
こうして、最後のナンバー「梅田ナイトフィーバー’19」へ。ミラーボールの光が辺り一面を照らし、ディスコティックな曲調に美しく映える。KZがコーラの肩を叩いてパートをバトンタッチする姿や、〈Yeah!Yeah!〉のコール&レスポンス、オーディエンスとメンバー全員での手拍子。場内は和気藹々とした雰囲気に包まれた。
2007年に梅田の歩道橋で生まれ、今、こうして大勢の人の前で歌うことができる喜びを「めちゃくちゃ幸せいっぱい」と噛みしめていたメンバーたち。KZが語っていたとおり、まさに肉体と肉体、声と声のぶつかり合いであり、そこから楽しさが無限大に広がっていく“パーティー”のような空間だった。
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