梅田サイファー、オーディエンスとの声のぶつかり合いで無限に広がる楽しさ ワンマンツアーファイナルレポ

梅田サイファー ワンマンツアーレポ

 大阪梅田駅の歩道橋で、輪になり即興のラップをするセッション(=サイファー)に参加していた集まりから派生した梅田サイファー。16年の活動歴を誇ると同時に、Creepy Nutsとして知られるR-指定など実力派が揃うラップ集団だ。そんな彼らが、メジャー1stアルバム『RAPNAVIO』を携えたワンマンツアー『NEW ALBUM "RAPNAVIO" RELEASE ONE MAN TOUR』を全4都市で開催。本記事では、6月11日、Zepp Shinjuku (TOKYO)でのファイナル公演の模様をレポートする。

梅田サイファー ライブ写真

 暗転とともにメンバーがステージに登場すると、待ちわびたオーディエンスは歓喜と興奮に沸き立ち、大きな拍手で彼らを迎える。初っぱなは、新作『RAPNAVIO』でもオープニングを飾る楽曲「BIG BANG」。いよいよライブの幕開けだ。シャープな高音が冴えるKOPERU、ストロングなteppeiといったように、刺激的なフロウで早くも観衆を虜にする。アルバムのキラーチューン「かまへん」では、〈かまへん〉のコール&レスポンスで会場のテンションも一気に上昇。

梅田サイファー ライブ写真

 この日はあいにくの雨模様だったが「もっと湿度の高い空間にしますので、皆さんよろしくお願いします!」とR-指定が挨拶。するとKZも「ツアーのファイナルなんで、全部使い果たして帰ろうと思うんで! 東京のみんなとガッツリ遊びきりたいけど付き合ってくれますか?」と熱く語りかける。続く「PARTY」や「GOD’S SON」では、メンバーがビートに合わせて自由に体を揺らしたりステップをする一方で、韻を踏む時には各々がしっかりと見せ場を作る。例えば、クールに攻めるpeko、タフなコーラ、安定感のあるR-指定……。さまざまな色合いがあり、その変化を楽しめる鮮やかなマイクリレーにぐっと心を掴まれる。何より、全員が「ラップが楽しい。ライブは楽しい」といった表情に満ちているのが微笑ましく、そのバイブスが自ずと会場全体に波及する。

 また、ブルーのライティングで雨の季節らしいムードを演出した「レインメイカー」、KBDの力強いラップやKZのウィスパーボイスが魅力の「トラボルタカスタム」、R-指定&KennyDoesの掛け合いが際立つ「ビッグジャンボジェット」など、観客を巻き込んで目眩い世界へと誘う。個々のキャラクターが垣間見えるライムがスパイスとなって、深みのあるパフォーマンスが仕上がっていく。そんなイメージだ。

梅田サイファー ライブ写真

 ここから、後半戦に突入。「アマタノオロチ」では、ILL SWAG GAGAによる〈アマタノオロチ〉のリピートが中毒性を放ち、ステージもフロアもいっそう白熱。思い思いのアクションで観衆を煽りつつ、メンバー間でパートをつないでいく時の何気ないアイコンタクト&ボディランゲージに、梅田サイファーらしいチーム感がにじむ。

 タオル回しも飛び出した「トメラレランナイ」では、ボイスエフェクトを駆使し、SPI-Kの華麗なターンテーブルさばきを堪能できる「さめないうちに」では、ゆったりとした叙情感のあるビートでメロウな空気感を醸し出す。またMCで、「(メジャーデビューをして)景色は変わっても同じ気持ちを持って、ずっとこうやって音楽を通してみんなとコミュニケーションを取ろうと思うんで、引き続きよろしくお願いします!」(KZ)と今の心境を率直に語る場面もあり、温かな拍手が送られた。

梅田サイファー ライブ写真
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