由薫、ファンの前で歌う喜びに満ち溢れたステージ 初のワンマンツアーで共有した“人との繋がり”

由薫、初のワンマンツアーレポ

 しっとりとした演奏に感慨深くなっていると、ステージに青白い照明が灯り、優しいピアノの音色が響く。続く曲は、彼女の名を一躍世間に知らしめた「星月夜」だ。真っ直ぐに正面を見つめながら、力強くも儚い歌声で観客を魅了する。歌い終えたところで由薫は、「星月夜」にはたくさんの景色を見させてもらったと語り出した。

「1人ぼっちだと感じたときに、私は曲を作ったことで自分と向き合えました。そこからライブをして、自分は誰かと繋がりたくて音楽をつくっていたんだと気づいた。曲を聴いてくれる人が1人ずつ増えて、一緒に演奏する人も増えて、それこそ“Alone Together”だなと思います。改めて今日は来てくれてありがとうございました」

 ライブはいよいよラストスパートへ。「No Stars」では力強い歌声でフロアを沸かせ、ライブが開催された6月にぴったりの「June, I love you」では、そっと寄り添うような温かみのある演奏で会場を包む。「最後の曲です。盛り上がっていきましょう!」という言葉を合図に始まった「gold」は、疾走感のある演奏にフロアの盛り上がりは最高潮に。「みんないい感じです!」と叫びながら歌う由薫の表情は喜びに満ちていて、目の前には本当に、彼女自身が夢に見ていた景色が広がっていたのだろう。

 興奮の冷めやらない観客のアンコールに応え、1人ステージに戻った由薫は、新曲「crystal(仮)」をギターの弾き語りで披露。まだ制作中の楽曲で、タイトルも歌詞も未確定だという。このタイミングで届けられた未完成の新曲は、初のワンマンツアーという特別な日に訪れた、観客へのプレゼントのようにも思えた。

 ラストに披露されたのは、「音楽を届けたい、あなたに聴いて欲しいという想いを込めた曲」だという「ヘッドホン」。思えば、ヘッドホンも1人で音楽を聴くためのアイテムだ。しかしライブでは、こうして多くの人が同じ時に同じ曲を聴いている。音楽で人が繋がっていくというのは、決してアーティストだけでなく、オーディエンスである私たちにも同じことが言えるかもしれない。アーティストと、そのアーティストを好きな大勢の人たちと、同じ時間を過ごせること。それがライブの素晴らしさであって、幸せな時間を誰かと共有したいからこそ、私たちはライブに足を運ぶのだろう。

 もともと彼女が1人でつくっていた曲が、大勢と共有するものに変わっていく。まさに“Alone”から“Together”に変化する過程を見届けたようなライブだった。同時に、音楽を通して繋がっていくことの楽しさを、由薫は私たちに伝えてくれたように思う。この先も彼女はきっと、多くの人と繋がることを願いながら素晴らしい楽曲を届けてくれるだろう。

◾️公演情報
『由薫2nd TOUR 2023』
10月27日(金)大阪 梅田 CLUB QUATTRO(18:00開場/19:00開演)
公演に関するお問い合わせ先:サウンドクリエーター(https://www.sound-c.co.jp/)
10月28日 (土)愛知 名古屋 CLUB QUATTRO(17:00開場/18:00開演)
公演に関するお問い合わせ先:サンデーフォークプロモーション(https://www.sundayfolk.com/)
11月10日(金)東京 渋谷CLUB QUATTRO(18:00開場/19:00開演)
公演に関するお問い合わせ先:ホットスタッフ・プロモーション(https://www.red-hot.ne.jp/)
チケット代:3,500円(税込 / ドリンク代別)
最速先行チケット購入はこちら
https://w.pia.jp/t/yu-ka-23/
受付期間
2023年6月12日(月)18:00〜 18日(日)23:59

原 由子、初の映像作品に収められたピュアな魅力 ベスト・オブ・ベストな選曲に現れたシンガーソングライターとしての資質

約31年ぶりの新作。そんな触れ込みで昨年10月に発表された原 由子の4作目のオリジナルアルバム『婦人の肖像 (Portrait …

MORISAKI WIN、初の全国ツアーは観客の笑顔が溢れる空間に 多彩なパフォーマンスで創り上げた最高のステージ

6月1日、MORISAKI WINがZepp Haneda (TOKYO)にて『MORISAKI WIN JAPAN FLIGH…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる