TikTokの流行はニコニコ動画が原点? 日本における二次創作の礎を築いた“ニコ動文化”の重要性
ニコニコ動画内ではアニメ・ゲーム・ボカロをはじめとする“オタク文化”に紐づく音楽ジャンルが使用した動画が中心であるのに対し、現在TikTok内で使われている音楽ジャンルは多岐に渡る。しかし、そこで作られる動画は“歌ってみた”や“踊ってみた”を筆頭としたニコ動文化のフォーマットも多く見受けられる。
2000年代から10年代前半のスマートフォン普及以前、インターネットは人々にとってそれほど親しいものではなかったが、その中でパソコンでアニメやゲームを楽しんでいた人々が、“オタク文化”を作り上げてきた。2005年に映画・ドラマ化された『電車男』がヒットし、2010年代にはスマートフォンも普及。インターネットがより身近なものになったことで、そういった“オタク文化”を非オタク層のユーザーも楽しむ流れが加速していったのではないか。
前述のように、インターネットそのものが“オタク文化”の一部から老若男女が利用する一般的なツールへと変化したことに伴い、ニコニコ動画も動画配信サービスという枠を超えて、独立した“ニコ動文化”として受容されるようになったと思う。
ニコニコ動画から生まれた相互的なコミュニケーション、ネタ的に楽しめるUGCの在り方は、形を変えながらもTikTokをはじめとする様々なSNSに継承されている。直近のTikTokでのブームとしては「INTERNET YAMERO」がひとつ挙げられる。これはアドベンチャーゲーム『NEEDY GIRL OVERDOSE(ニーディガールオーバードーズ)』のMVが元になっており、電波ソング的な楽曲に乗せて、様々な二次元キャラクターがダンスを踊るという二次創作動画が多数作られている。前述した“オタク文化”の色を濃く残した楽曲がTikTokで流行する例も最近は珍しくない。オタク由来の文化が、現在では非オタクを巻き込んでバズを起こし続けている状況を鑑みると、ニコ動文化の重要性を感じずにはいられない。
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