ONE OK ROCK、破格のスケールで鳴らした“生きる”というメッセージ リベンジを果たした東京ドーム公演レポート
4月4日、ONE OK ROCKの全国ドームツアー『ONE OK ROCK 2023 LUXURY DISEASE JAPAN TOUR』の東京ドーム公演(1日目)が開催された。
このツアーは、昨年9月リリースの新作アルバム『Luxury Disease』の楽曲を軸に据えたものである。今一度ロックに真正面から向き合い、その核心を最新の方法論によって見事に射抜いてみせた新作の楽曲たちが、ついにライブの場で披露される。それが、今回のツアーに寄せられる最も大きな期待の一つであった。また、この東京ドーム公演は、ツアーの狭間で参加した約1カ月にわたるMuseの北米ツアーを経て開催されたものであり、それ故にこの日のライブは、さらなるビルドアップを果たした彼らにとっての凱旋公演でもあった。ツアーを終えた今、本稿ではその一夜の模様をレポートしていく。
開演した瞬間、まるで怒号のような歓声が一気に巻き起こり、まずはTomoya(Dr)が鮮烈なドラムソロを打ち放つ。次に、アリーナ後方からToru(Gt)、Ryota(Ba)が登場し、大歓声を浴びながら前方のステージへと向かっていく。そしてついにTaka(Vo)がその姿を現し、アリーナの中央に敷かれた花道を歩みながら3人が待つステージへ。「帰ってきたぞ、東京ドーム!」というTakaの叫びと熱烈な炎の特効を合図に、渾身のスタジアムロックナンバー「Wonder」へ突入する。ライブ冒頭とは思えないほどに凄まじい大合唱が巻き起こり、その熱量を推進力として2曲目の「Save Yourself」へ。骨太で重厚なリフを主軸とした同曲におけるメンバーの演奏とTakaの歌は熾烈を極めていながら、同時に、その優雅でしなやかなパフォーマンスは軽やかな余裕を感じさせるものだった。彼らはこの後のMCで、前回の東京ドーム公演で人の多さに圧倒され、それがずっとトラウマとなっていたことを明かしたが、あれから数年間における数々の経験を経て逞しく進化を遂げた今の4人は、まさに王者の風格とも呼ぶべき堂々たるオーラを放っていた。
「答えを見つけに行こうか、東京ドーム!」という言葉を受けて披露されたのは、2011年の楽曲「アンサイズニア」だ。Takaは今回のツアーについて、「やるからには、絶対に満足してもらえるようなセットリストを用意したかった」と述べ、その言葉の後に久々に披露された「Clock Strikes」では、「歌ってくれ、東京ドーム!」という呼びかけに合わせて会場全体から大合唱が巻き起こり、その上にTakaの圧巻のロングトーンが折り重なる。その美しい光景を観ながら、それぞれの初期曲が、まるではじめからドーム規模の会場で鳴らされることを見据えて制作されたかのような破格のスケールを誇っていることに改めて気づかされた。
その後も、そうした初期曲と、モダンな響きを誇る洗練された新作の曲が連発されながら、怒涛のロックスペクタクルが展開されていく。原点に滲む切実なエモーションを再び解き放ってみせた1stアルバム『ゼイタクビョウ』収録曲「カゲロウ」。タイトに磨き込まれたダンサブルなビートを通して、果てしない狂騒感を生み出してみせた「Mad World」。甘美な歌のメロディをTakaの至高のボーカリゼーションで届けた「So Far Gone」。どれも本当に圧巻であった。
MCでは、いつもリハーサルで遊んで披露しているというThe Jackson 5の「I Want You Back」と、Toruがギターを弾きながら矢継ぎ早なラップを届ける初期曲「努努-ゆめゆめ-」を1番のみ披露するという嬉しいサプライズも。そして、この日の中盤のハイライトを担ったのは、昂る反骨精神をロックに宿した新たな代表曲「Renegades」。燃え盛るような大合唱に合わせて、一人ひとりの観客が腕に装着したライトが点灯し、東京ドーム一面が真紅に染まっていく。中盤にして一つのクライマックスのような景色を描き出す鮮烈な名演であった。