SEVENTEEN、日本での初動も勢い感じるミニアルバム『FML』が首位に 適度な引き算とバランス感覚

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2023-05-08/

 2023年05月08日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのはSEVENTEENの10枚目となるミニアルバム『FML』で、推定売上枚数は551,614枚だった。ほか、トップ10圏内での初登場作品は3位 ブラックスター -Theater Starless-『BLACKSTAR IV』(14,707枚)、6位『アイドリッシュセブン Collection Album vol.3』(9,361枚)、7位 ASP『DELiCiOUS ViCiOUS』(8,322枚)、8位『Splatoon3 ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune3-』(7,571枚)、10位 GENERATIONS from EXILE TRIBE『GENERATIONS LIVE TOUR 2022"WONDER SQUARE"』(4,676枚)だった。

 さて、今回ピックアップするのは首位のSEVENTEEN『FML』だ。今作は韓国本国のHANTEOチャートで発売初週の販売数が455万枚とK-POP史上最高記録を達成している。約55万枚という日本での初動も、その勢いを感じさせるインパクトがある。アグレッシブな側面と親しみやすくメロディアスな側面のバランスがとれたプロダクションと歌唱には貫禄さえ覚えてしまう。

 リード曲は「손오공(孫悟空)」で、英題は「Super」。MVも含めて、やはりこの曲が一番印象に残る。イントロのサウンドからはフューチャーガラージか……と思いきや、ジャージークラブの特徴的なキックドラムが鳴り出す。ドロップではテンポが半分になって緩急をつけたうえで、サビに入ると一気に迫力を爆発させる。基本となっているのはジャージークラブのビートだが、リムショットのパターンのおかげで少しソカを思わせる高揚感がある。

SEVENTEEN (세븐틴) '손오공' Official MV

 ジャージークラブはここ数年じわじわと盛り上がってきたジャンルで、もともとはハウスなどのダンスミュージックから派生した音楽だが、近年はヒップホップなど他分野とのクロスオーバーもさかんになり、ポップスでもビートを耳にすることが増えた。だからSEVENTEENも良いタイミングだと言えるが、ストレートにジャージーをやるというよりは(先に書いたような楽曲展開からもわかるように)少しテイストをずらしている。かといって、楽曲全体にあまりギミック感はない(全体が飛び道具といえばそうなのだが)。K-POPならもうちょっとクドい展開が入ってもおかしくないような気もするけれど、アグレッシブでありながらとてもスマートな仕上がりになっている。

 「Fire」も、サウンドひとつひとつは攻撃的なのにつくりはごくミニマルで、シンプル。展開やサウンドを盛って迫力を出すよりも、引き算でドロップのインパクトを出しているところがかなり好印象。「Fire!」の声ネタとキックドラム、そしてパーカッションだけでもたせる潔さには惹かれるものがある。

Fire

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