中村倫也&池松壮亮、『仮面ライダー』でも話題の2人が発揮する“歌声の魅力” 映画やCMなどで広げていく新しい表現力

 現在の日本のドラマ、映画などで欠かせない存在である、中村倫也、池松壮亮。そんな2人の共通項として挙げられるのが『仮面ライダー』だ。

 中村は、白石和彌監督による『仮面ライダー BLACK SUN』(2022年/Prime Video)で南光太郎(BLACK SUN/西島秀俊)のかつての親友で宿敵・秋月信彦(SHADOWMOON)を演じている。一方の池松は、庵野秀明監督が手がけた『シン・仮面ライダー』(2023年)で、改造人間としての苦しみと悲しみを抱える本郷猛(仮面ライダー/第1バッタオーグ)に扮している。

 白石、庵野という、常に社会性を織り込み、波紋を起こす作品を手がけ続けてきた両監督とあって、『仮面ライダー BLACK SUN』『シン・仮面ライダー』はともに奥深さに満ちあふれている。そして中村、池松のこれまでのキャリアを振り返ってみても、そういった賛否両論を集める作品にぴったりと合うイメージの俳優である。

一聴しただけで分かる池松壮亮の歌声

 『シン・仮面ライダー』では、プロモーション映像での池松の歌も話題になった。池松は『仮面ライダー』シリーズでおなじみのテーマ曲「レッツゴー!! ライダーキック」の歌唱にチャレンジ。オリジナル曲は、本郷猛役の元祖・藤岡弘(現名義は藤岡弘、)である。藤岡が醸し出していた無骨さや、「うまく歌おうとするのではなく己のなかから湧き上がる感情を大事にする」というような部分を踏襲したのか、池松はあえて力みを感じさせる歌声を同PVで聴かせている。声のかすれをそのまま使用しているところも特徴的でおもしろい。なによりも、一聴しただけで池松の声だと分かるところが良いのではないか。

『シン・仮面ライダー』プロモーション映像 A

 池松と言えば映画『君が君で君だ』(2018年)のなかでも、カラオケボックスのシーンで尾崎豊の「僕が僕であるために」(1983年)を歌っていた。こちらも「うまいかどうか」ではなく、魂をこめた熱唱で大いにインパクトを残した。主演を務めたドラマ&映画『宮本から君へ』シリーズでもひしひしと伝わってきたが、作品のなかで見せる「熱さ」「泥臭さ」こそが池松の魅力のひとつ。「歌い手」の立場にまわったときも、その熱量が変わらず放たれている。

 ちなみに2021年には、SOYJOY「コーヒー&ナッツ」のCMでピアノを弾きながら軽快にラップを歌った。ラップ指導は、CMの楽曲も制作したRHYMESTERのMummy-D。池松は同CMのインタビューで、「高校生の頃、(Mummy-Dの曲を)ちょっとだけ聴いていたんですね。それで(撮影に向けて)Mummy-Dさんの歌をなんとかコピーしようと思って2週間くらい練習したんですけど、全然寄らなくて大変でした」(※1)と振り返っている。ただこちらでも池松の声質が生かされていて、彼の「表情」が歌声から感じられた。

SOYJOY CM|「コーヒー&ナッツ登場」篇 30秒

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