millennium parade×椎名林檎『地獄楽』、YOASOBI・女王蜂『【推しの子】』……4月期アニメで期待できる作品と楽曲の共鳴
millennium paradeと椎名林檎のコラボ楽曲「W●RK」が4月より放送開始のアニメ『地獄楽』(テレビ東京系)のオープニングテーマに決定した。また、同じく4月より放送開始のアニメ『【推しの子】』(TOKYO MXほか)のオープニング主題歌にYOASOBIが「アイドル」を、エンディング主題歌に女王蜂が「メフィスト」をそれぞれ書き下ろすことも発表されており、今期はアニソンシーンが大きな盛り上がりを見せそうだ。
これらのアーティストたちは、これまでも多くのアニメ主題歌を担当してきた。なぜ彼ら彼女らはアニメに求められるのか、過去作を振り返って考えてみたい。
世界観の合致と、作品に寄り添えるクリエイティブセンス
King Gnu・常田大希率いるmillennium parade(以下、ミレパ)のアニメ主題歌として印象的なのは『攻殻機動隊 SAC_2045』(Netflix)とのタイアップだろう。2020年4月より配信されたシーズン1には「Fly with me」を提供。この曲は劇場作品『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』の主題歌にも起用された。さらに昨年5月より配信されたシーズン2にはオープニングテーマ「Secret Ceremony」とエンディングテーマ「No Time to Cast Anchor」の2曲を提供。同作とより強固な結び付きを見せていく。
そのほか、映画『竜とそばかすの姫』に主題歌「U」を書き下ろしたことでも知られている。同曲は仮想世界<U>を舞台としたSFファンタジー的世界観と、ミレパならではのサイバー感が見事に融合していた。こうした世界観の合致はタイアップに必要な要素の一つだ。アーティストが持っている世界観と、アニメ作品が描く世界観、両者があまりにもかけ離れている楽曲は、主題歌として違和感を生んでしまう。アニメに求められるような音楽性をすでに確立しているからこそ、主題歌への起用につながるのだろう。
一方で、今回ミレパとコラボする椎名林檎もこれまでに多数のタイアップを実現してきた。アニメで絞れば、映画『百日紅 〜Miss HOKUSAI〜』の主題歌「最果てが見たい」、『おじゃる丸』(NHK Eテレ)のエンディングテーマ「いとをかし」が挙げられる。また、自身がプロデュースした楽曲としてはテレビアニメ『昭和元禄落語心中』第1期シリーズのオープニングテーマ「薄ら氷心中」、第2期シリーズのオープニングテーマ「今際の死神」が印象深い(いずれも歌唱は林原めぐみ)。一貫して時代物とのタイアップを続けており、これは彼女独特の言い回しで綴られる古典文学的な歌詞や、ジャズ〜歌謡曲からの影響を受けた音楽性によるものが大きいと思われる。もとより作品に寄り添えるクリエイティブセンスがなければ、この役は務まらない。こうした作品群とのタイアップは、彼女の曲作りの能力があってこそのものと言えるだろう。
今回の『地獄楽』も江戸時代末期を舞台とした作品で、作詞は椎名林檎と常田大希、作曲は常田大希とアナウンスされている。両者のイメージとも相性抜群であり、なおかつ作品の世界観を表現できる才能も申し分ないだろう。この現在のJ-POPシーンを代表する両者のタッグに期待は膨らむばかりだ。