梅澤美波、秋元真夏から受け取ったバトン 厳しさと親しみやすさを両立する乃木坂46のキャプテンに

 梅澤美波が、乃木坂46の3代目キャプテンに就任した。初代キャプテンの桜井玲香から秋元真夏へとそのバトンが受け継がれたのが、2019年9月のこと。桜井の他者に寄り添うキャプテンとしての姿は乃木坂46の礎となり、グループが纏っている優しい空気感――いわゆる多くの人がイメージする“乃木坂らしさ”を形作っていった。

 秋元が託されたのは、一つの到達点へと達しようとする成熟した、そして転換点へと向かっている乃木坂46。最後の1期生メンバーとなった秋元は、もうじき訪れる3期生、4期生、5期生のみの乃木坂46の未来を思い、人一倍の愛情をメンバーに注いできた。引っ張るのではなく寄り添うことは桜井と同じに、そこには自分より人のことを優先してしまう彼女の性格も多分に上乗せされていたように思える。秋元が実現したかったことを叶えながらも、しっかりと後輩メンバー一人ひとりに光を当て、次のチャンスを与えていった『11th YEAR BIRTHDAY LIVE』(以下、『バスラ』)での卒業コンサートが象徴的だ。秋元には笑顔で、愛らしく、少し抜けた部分があるかもしれないが、時にグループを、メンバーをシビアな視点で見つめる場面もあり、それは乃木坂46を愛するが故の行動と言えるだろう。

 梅澤は2021年11月より乃木坂46にとって初めてとなる副キャプテンに就任。日産スタジアムで開催された『10thバスラ』でのMCを筆頭にして、秋元が全幅の信頼を寄せる副キャプテンへと成長していった。秋元は卒業記念写真集『振り返れば、乃木坂』のなかで、「私が一人でキャプテンをやってたときよりも、気持ち的に救われた部分が格段に増えて…。梅じゃなかったら無理だったって思うところが全部だったから。なんか本当に右腕みたいな感じでやってこられた」と梅澤に精神的にも支えられていたことを明かしている。その一方で、緩やかに梅澤へとキャプテンを移行していくという目的もあったはずだ。

 約1年3カ月の副キャプテンの期間で梅澤に感じるのは「厳しく律する」姿。それは自身にも、グループにとってもだ。小川彩が『乃木坂46の「の」』(文化放送)で発言した「いい意味での圧」は、今では梅澤が自虐的にネタにするようになっているが、言い換えれば5期生のような後輩メンバーにとっては背筋が伸びる思いだということでもある。

 ただ、『11thバスラ』でキャプテンを秋元から託された際には、咽び泣く梅澤がいた。キャプテンにしか分からない重責と不安。乃木坂46という看板が大きくなるにつれて、そのプレッシャーは計り知れないものとなる。加えて、1期生、2期生がいなくなるというグループの現状も重なっている。

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