常田大希×井口理、二人の信頼関係がKing Gnuに与える影響 幼馴染から仲間になるまでの足跡を辿る
King Gnuは多角的に魅力を語ることができるバンドだ。キャッチーさとマニアックさを兼ね備えた上質な楽曲構成、ソロプレイヤーとしても存在感を魅せることができるメンバー全員の演奏力の高さ、熱さとクールさを兼ね備えた独特のバンドの温度感……と、挙げ出したらキリがないほどの魅力が溢れている。ただ、その中でもフロントマン的なポジションを取る、常田大希と井口理の二人に魅了されて、King Gnuのファンになったという人は多いだろう。本稿では常田大希と井口理の二人にスポットを当てながら、その魅力を掘り下げてみたいと思う。
常田大希と井口理の出会いは、小学生の頃まで遡る。当時は顔見知り程度の仲だったようだが、2人とも長野県伊那市の出身。小・中学の幼馴染であり、学年は常田の方が1つ上だ。中学以降は、一度は疎遠となってしまうが、井口が東京藝術大学に入学することで、再び常田と出会うことになる。井口が大学に入学したタイミングではすでに退学していたが、常田もまた井口と同様、東京藝術大学に在籍していた過去があり、退学後も時折東京藝術大学に顔を出していたことで、再会を果たしたのだった。
重要なのは、King Gnu結成前から、二人は関係性があったということ。さらに言えば、幼馴染ではあるが、“親友”というほどの距離感ではなく、近からず遠からずの仲からバンドを活動をスタートさせたことが、今のKing Gnuのバンドの温度感にそのまま投影されている印象を受ける。
井口は自身の兄の影響で、大学では声楽科に通ったことから、当時の音楽活動は演劇的なものが多かったという。結果、そのときの経験が活きて今では番組のナレーターや映画の主演を務めるなど、その活躍の場を広げることにもなるわけだが、当時はロックバンドのボーカルを務めるという想定はなかったようだ。
二人が一緒に音楽活動を行うようになったのは、常田がKing Gnuを結成する少し前のこと。
King Gnuには前身バンドがあり、常田はSrv.Vinciというバンドを結成して活動していた。Srv.Vinciは、常田大希のソロプロジェクトの色合いが強く、バンド結成当初は固定のメンバーではなく、常田が一緒にプレイしたいと感じた知り合いに声をかけて活動していたようだ。その結果、今のKing Gnuのメンバーでもある勢喜遊、新井和輝、井口理に固定化されるようになり、やがてはKing Gnuの結成に繋がっていく。かくいう井口も、最初はSrv.Vinciのサポートコーラスという位置付けで参加していたが、King Gnuとして活動を続けていく中でボーカルというポジションを取り、今の形でバンドに定着していくことになる。