『ブラザー・トラップ』の繊細なラブストーリーを楽曲から楽しむ さゆべえ&Misty Tone feat. 石野理子が歌う“揺れ動く恋の心情”
1月24日より、毎週火曜深夜24時58分から放送しているドラマ『ブラザー・トラップ』(TBS系/一部地域を除く)。本作は電子コミックサービス「LINEマンガ」にて1億5000万ビューを記録した日向きょうによる同名の人気漫画が原作で、ドラマを盛り上げるオープニングテーマ&挿入歌を元赤い公園の石野理子(ゲストシンガー)が、エンディングテーマをソロアーティストとして活動するさゆべえが歌っている。
物語の主人公は、元カレとわだかまりが残ったまま別れてしまったことをきっかけに、恋愛に積極的になれなくなってしまった大学生の立花あかり(久間田琳加)。そんなあかりは、大学の後輩・成瀬和泉(山中柔太朗)と知り合ったことで、久しぶりの恋を自覚。しかし、彼女の恋する相手・和泉は元カレの成瀬大和(塩野瑛久)の弟だったことが発覚する。その事実を本人たちも知ってしまって……。あかりと和泉、大和を中心に繰り広げられる、ピュアで繊細なラブストーリーが見どころの作品だ。
2月21日に第5話が放送され、物語は佳境を迎えた。このタイミングで改めて、各楽曲がドラマにどのような効果をもたらしているのか振り返りたい。
登場人物の“揺れ動く恋心”を引き立てるオープニングテーマ&挿入歌
本作のオープニングテーマ「ひとひら」と挿入歌「ぬくもり」は、プロジェクトごとにミュージシャン、作家、ボーカリストなど様々なクリエイターを招聘するメンバー変動型音楽制作ユニット Misty Toneが制作。今回ゲストボーカルとして参加した石野理子の持ち味である、聴き手に言葉がまっすぐ届く伸びやかな中音域の歌声で、楽曲の淡くはかない世界観を見事に表現している。
オープニングテーマ「ひとひら」では、ふとした出来事から恋心が芽生える瞬間や、恋する相手と交流を重ねる中で築き上げられていく確かな気持ちを、ピアノをベースとした情緒豊かなサウンドで表現。希望を持って手探りで前に進んでいくような、繊細で複雑な恋愛感情を、石野の静かでしっとりとした歌声があざやかに描き出すスローテンポのバラードとなっている。ドラマの中では、あかりと成瀬兄弟の3人の映像とともに楽曲が流れ、“曖昧から確信に変わる恋心”を描いたドラマのオープニングにふさわしい一曲となっている。
また、挿入歌の「ぬくもり」は、不確かで目には見えない“ぬくもり”や“愛”を求める心情を、石野のはかなげな歌声とアコースティックサウンドで表現。雪の舞う静寂な世界の中で一輪の花が咲いているかのような、凛とした強さを持つこの楽曲は、特に主人公・あかりの心情や、大和とあかりの高校時代を描いたシーンで流れることが多い。
例えば第5話では、あかりと大和の心情が交差する場面で「ぬくもり」が流れたことで、物語のキーポイントを盛り上げた。第5話は大和とあかりのキスがストーリーの鍵となるが、高校時代に2人が初めてキスをした回想シーンで「ぬくもり」の冒頭部分が使われたことで、2人が心から想い合う関係性を暗に示唆する歌詞のようにも思える。そして、大和があかりに惹かれたきっかけを描いた回想シーンでは、〈“そこに在る” 教えてくれた人〉という歌詞が大和の気持ちとつながり、あかりへの想いを「俺にとっては特別なんだよ」と切なげにこぼしたセリフを引き立てた。