8LOOM、音楽とともに歩んできたストーリー 『君の花になる』クライマックスに向け、各チャート絶好調の5曲を総括
2022年10月18日に放送がスタートした、火曜ドラマ『君の花になる』(TBS系)。崖っぷちのボーイズグループ 8LOOMが、主人公である元高校教師の寮母・仲町あす花(本田翼)と支え合いながら、トップアーティストへと成長していく姿を描いた本作が、12月20日に最終回を迎える。オーディションによって、8LOOMのメンバーに選ばれたのは、佐神弾役の高橋文哉(俳優)、成瀬大二郎役の宮世琉弥(俳優)、久留島巧役のNOA(ソロアーティスト)、一之瀬栄治役の八村倫太郎(WATWING)、桧山竜星役の森愁斗(BUDDiiS)、古町有起哉役の綱啓永(俳優)、小野寺宝役の山下幸輝(俳優)という、これまで方向性の異なる芸能人生を歩んできた7人。今年5月に始動した“君花プロジェクト”として、この半年、彼らは現実世界でも音源リリースや音楽番組出演、ライブツアー開催といったアーティスト活動を行い、各種音楽チャートを賑わせている。そんな話題の楽曲たちを通して、今一度彼らの軌跡を辿っていこう(以下、ネタバレあり)。
まず始めに、8LOOMとして活動するキャストたちを紹介したい。8LOOMの初代リーダーで作曲担当、“圧倒的な存在感を放つツンデレ男子”佐神弾を演じるのは、近年立て続けに話題作に出演している若手俳優・高橋文哉。オーディションでは自主練習してきた歌を披露していた彼だが、本格的に音楽に挑戦するのは今回が初めて。同じく『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(テレビ東京系)での活躍が記憶に新しい綱啓永も、“仲間想いの熱い兄貴分”古町有起哉を演じるにあたり、歌・ダンス共にほぼ未経験の状態で仲間入りしている。だが、メンバーによると2人は振り入れのペースが速かったそうで、今では、俳優ならではの表情作りや見せ方に特化したステージングもグループの色に。TBS公式YouTubeで配信された「『君の花になる』までの365日」を見ればわかるように、彼らが重ねてきた地道な努力と仲間たちの献身的なサポートが、半年間の怒濤のスケジュールを実現したと言えるだろう。また、“最年少だがしっかり者”の成瀬大二郎(以下、なる)を演じ、最新話で波乱を巻き起こしているのは、2020年放送のドラマ『恋する母たち』(TBS系)の劇中で披露したラップ「まんじゅうこわい」が話題を呼んだ宮世琉弥。連続ドラマへのレギュラー出演が初となる山下幸輝も、小学1年生の頃からロックダンスを学び、数々のダンス大会で優勝を勝ち取ってきた実力者。その経験を落とし込みながら、“努力家で面倒見のいいリーダー”小野寺宝を演じている。
演技面で作品をリードする俳優陣に対し、演技初挑戦となるNOAは、韓国の大手事務所・YGエンターテインメントの日本人初の練習生という経歴を持ち、楽曲制作から振付まで自ら行うソロアーティスト。高いスキルと180cm超えのスタイルでステージ上では唯一無二のオーラを放っている反面、少しおっとりとした素顔は、彼が演じる“天然愛されキャラ”久留島巧と重なる。同じく初演技となった森愁斗は歌唱力に定評があり、ダンスボーカルグループ BUDDiiSや、兄弟ユニット“もーりーしゅーと”として活動。本人のダンス歴は短めだが、劇中では彼が演じる“甘えん坊の弟キャラ”桧山竜星と小野寺宝(通称“公式双子”)がダンス大会に出場するという設定があり、8LOOMのWダンスリーダー的な役割を担っている。俳優業に力を入れるために今作で大きな一歩を踏み出した八村倫太郎は、普段はボーイズグループ WATWINGの一員として活動しており、幅広い音域で見せる歌声のギャップと、クランパーらしいダイナミックなダンスが武器。彼が演じる一之瀬栄治は“知的な心配性キャラ”だが、曲中では繊細な一面とパッション全開のアグレッシブな一面を織り交ぜたパフォーマンスで、堂々と楽曲を彩っている。
■「Come Again」
12月2日~4日、追加公演となるツアー『君の花になる“Let’s 8LOOM”TOUR ~THE FINAL~』で東京ガーデンシアターのステージに立った8LOOM(12月2日にはドラマ内のライブシーン収録を実施)。オーディションを勝ち抜いた7人のアーティスト活動は、初めからそのステージを見据えてスタートしたのだという。そして、ドラマの初回放送に先駆け、9月21日に配信限定でリリースされた1stシングル曲が「Come Again」(作詞:IE-MON、作曲:MUSOH / Andreas Ohrn / IE-MON、編曲:Andreas Ohrn)。劇中および現実世界におけるデビュー曲で、主人公のあす花やメンバーたちが挫折しながらも前向きに生きていく様を描いたダンスチューンである。劇中では崖っぷちグループだった8LOOMの命運を握る“再スタートの曲”でもあり、初代リーダー・弾(高橋文哉)がアーティストを目指していた高校時代に作曲したという設定になっているが、実際は超特急などの楽曲を手がけるIE-MONが作詞を担当。作曲のMUSOHも、AAAやDa-iCEといったダンスグループの楽曲を多数手がけているクリエイターであり、他の4曲を含め、ドラマの制作陣が8LOOMの音楽にどれほど本気で向き合っているかが窺える。
「Come Again」の歌い出しを任されたのは、良いことも悪いことも、さまざまな香りを敏感に感じ取るというキャラクター、竜星(森愁斗)。彼のピュアな歌声は、若い才能が花開き、フワッと香りが舞い込むイメージを掻き立て、始まりの合図にピッタリだ。そこから、自分に言い聞かせるように前向きな言葉を吐き出す栄治(八村倫太郎)、ハイトーンボイスで語りかけるように歌う有起哉(綱啓永)、自分の可能性を切り拓くと共に、8LOOMY(ファン)に力強いエールを送る“なる”(宮世琉弥)……と、メンバー一人ひとりが自分の殻を破りながら進む姿を個性豊かな歌声で描き出し、サビでは一丸となって大きな花を咲かせていく。そんなサクセスストーリーが感じられる1曲に仕上がっている。
さらに8LOOMの楽曲の振付は、NCT UやStray Kidsなどの振付を手がけている世界的ダンサー/コレオグラファーのReiNaが担当。「Come Again」の振付は花や笑顔といった歌詞を体現したキャッチーなダンスとなっており、先日のライブでは、ダンスが得意な山下幸輝と八村倫太郎がユーモアたっぷりに振付をレクチャーし、8LOOMYと一緒に踊る場面も。SpotifyではVIRAL Top 50 Japanにおいて1位を記録し(10月22日付)、2カ月にわたってトップ20にランクインした。さらに、公式YouTubeで公開されているMVの再生回数は440万回を超え、パフォーマンス映像などの公式ショルダーコンテンツを含めた総再生回数は900万回を記録(12月中旬現在)、さらに Billboard Japan Heatseekers Songsでは3位(11月2日付)に初登場して以降、6週連続で3位にランクインし続けるなど、 8LOOMの高まり続ける人気を示す1曲である。
■「君の花になる」
10月19日に配信リリースされた2ndシングル曲「君の花になる」(作詞:UTA / JUN、作曲:UTA、編曲:UTA)は、「みんな、誰かの“花”、誰かの“力”になれる」というメッセージが込められたドラマのメインテーマソング。こちらもBillboardのHeatseekers Songsにて2位に初登場(11月2日付)して以降、現在まで6週にわたってトップ5をキープ中である。それもそのはず、今作以降の4曲のサウンドプロデュースは、日本のポップスやK-POPなど数々の作品を手がけ、国境を越えて活躍する音楽プロデューサーのUTAが担っている。この曲で歌い出しを担当したのは、期間限定グループという儚さを纏いながらも、凛とした歌声が印象的な巧(NOA)。抜群のボーカルコントロールを誇る彼は、竜星(森愁斗)と共にドラマティックに展開するDメロも歌唱しており、他にも、可愛らしいイメージを覆す低音ボイスが心地よい“なる”(宮世琉弥)のラップパートや、弾(高橋文哉)が説得力のある歌声と視線で伝える〈ひとりじゃない〉〈世界にひとつの/君の花になる〉のメッセージなど、異なるバックボーンを持つ7人の強みがバランス良く散りばめられている。