水樹奈々、“ヒーロー”テーマのエネルギッシュなライブ 『魔法少女リリカルなのは』楽曲で沸かせた誕生日のSSA公演

水樹奈々、SSA公演レポ

 続く「FEARLESS HERO」では、赤とシルバーのカラーリングがヒロイックな印象を与えるマント付き衣装を身にまとった水樹が、ワイヤーによるフライングでステージのはるか上空を飛行するパフォーマンスを披露。吊られた状態で高度を上下させつつ左右方向に数十メートルにわたって飛び回る中、そんな不安定な体勢で歌っているとはとても思えないほどの安定したピッチと朗々たる歌唱表現で観客の度肝を抜く。着地後には「久しぶりに飛んじゃいました」といたずらっぽく笑いつつ、“ヒーロー”をテーマに掲げるライブである以上、「ヒーローって乗り物に乗ってくるというより、自力で飛んでくるよね!」という自らのヒーロー観を忠実に表現すべく決断した演出であると説明した。

 ライブが終盤に差しかかると熱気はさらに指数関数的に増していき、「GET BACK」「Destiny's Prelude」「Don't be long」と劇場版『魔法少女リリカルなのは』楽曲がこれでもかと連投される。曲終わりに超ロングトーンを披露するなど旺盛なサービス精神と高い技術力を見せつけた水樹だったが、「なのはたちに触れて思ったのは、特殊なパワーがなくても思いの強さでいろんな奇跡を起こしていくということ。だからきっと誰でもヒーローになれる。特殊な力なんて必要ない」と熱弁。「私も鉄人とか言われますけど、ワイヤーがないと飛べないし」と笑わせた。

 そして本編ラストに選ばれた1曲は、「『-LIGHTNING MODE-』最後の曲はこの曲以外に考えられなかった」という自身最大の代表曲のひとつにして『魔法少女リリカルなのはA's』オープニングテーマでもある「ETERNAL BLAZE」だ。会場全体のペンライトの光がオレンジ一色に染まる中、惜しみなく連発される火炎特効の演出も相まってボルテージは最高潮に。その鬼気迫る圧倒的なパフォーマンスでオーディエンス全員の胸に永遠の炎を灯し、水樹はステージをあとにした。

 アンコールでは、フロートに乗って現れた水樹が黄色のライブTシャツ姿でハッピーなポップロックナンバー「ミラクル☆フライト」「POP MASTER」を歌いながらアリーナ外周をぐるりと一周。2万人を超える観客1人ひとりと余さず目を合わさんばかりの勢いで全方位に手を振り、満面の笑みを振りまいていく。メインステージにたどり着くと、続くMC中にCherry Boysがバースデーソングを奏ではじめ、team YO-DAからバースデーケーキが運ばれてくるというサプライズが実行され、水樹は「いつ練習したの!?」と目を丸くするばかり。そんなほがらかな光景に、場内は混じりけのないお祝いムードで満たされるのだった。

 そして水樹の「『まだ俺のあの曲が来てない』と思っている人もいるんじゃないでしょうか」との言葉に導かれるように、ラストももちろん『魔法少女リリカルなのは』楽曲でフィニッシュテープを切ることに。劇場アニメ『魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's』の主題歌「BRIGHT STREAM」、テレビアニメ『魔法少女リリカルなのは StrikerS』の挿入歌「Pray」の2曲をエネルギッシュに歌い上げ、水樹らしい過剰な情報量と尋常ならざる熱量を備える約3時間の公演を完走した。

 クロージングSEが場内に響き渡る中、改めて花道を縦横無尽に全力疾走しながら「ありがとう!」「楽しかったね!」などと来場者たちへ言葉を発し続けた水樹は、最後に「これからも皆さんに寄り添えるような、一歩でもヒーローに近づけるような、そんな存在でありたいなと思います」と改めて決意を表明。そして「2023年も、水樹奈々に、かかってこーーーい! ぴょん」と絶叫し、名残惜しそうに舞台袖へと姿を消した。

 なお、本公演の模様は今年4月と5月にWOWOWおよびWOWOWオンデマンドにて『-LIGHTNING MODE-』『-BLADE MODE-』ともに放送/配信が予定されている。さらに6月にはインタビュー映像を含むスペシャル番組も放送されることになっているので、気になるファンはチェックしておこう。

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