水樹奈々、“ヒーロー”テーマのエネルギッシュなライブ 『魔法少女リリカルなのは』楽曲で沸かせた誕生日のSSA公演
水樹奈々が1月21、22日にワンマンライブ『animelo presents NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023 supported by JOYSOUND』を埼玉・さいたまスーパーアリーナにて開催した。自身の誕生日にあたる初日の公演を『-LIGHTNING MODE-』、2日目公演を『-BLADE MODE-』と銘打ち、水樹がこれまでに声優として演じてきた数々のヒーロー、ヒロインにまつわる楽曲群を披露。本稿では、『魔法少女リリカルなのは』シリーズの関連楽曲を中心とするセットリストで展開された初日公演『-LIGHTNING MODE-』の模様をレポートする。
会場に足を踏み入れた観客の目にまず飛び込んできたのは、ステージ上に組まれたアメコミテイストの大掛かりなセットだ。舞台後方の巨大スクリーン前には渋谷の某ビルを思わせる「077(お奈々)」の数字があしらわれた円柱状の塔を中心に、東京のビル群が放射状に建ち並んでいる。スクリーンを囲む背景はマンガのコマ割りを模したデザインとなっており、コマ枠に仕込まれたLEDライトが適宜光って演出を加えていく仕組み。さらに上手側には稲妻(LIGHTNING)、下手側には剣(BLADE)のイラストがでかでかと飾りつけられていた。コンセプトは「飛び出す絵本のイメージ」で、「アメコミの世界からヒーローが現実世界に飛び出してきたような」表現を意図して作り上げた世界観なのだそう。
客電が落とされ、会場中が青一色のペンライトの光で埋め尽くされると、オープニングムービーに続いて『魔法少女リリカルなのは』の第1期オープニングテーマ「innocent starter」でライブがスタートした。『-LIGHTNING MODE-』公演のテーマカラーである黄色を基調としたアシンメトリーな衣装に身を包んだ水樹が「077」ビルの屋上に立って伸びやかな力強い歌声を響かせると、会場に集まった2万3000人のファンは一気にヒートアップ。背景スクリーンに次々映し出される美麗な星空の映像やライティング演出などとも相まって、場内はみるみるうちに『-LIGHTNING MODE-』の世界に支配されていった。
さらに「BRAVE PHOENIX」「PHANTOM MINDS」と、冒頭から惜しげもなく『魔法少女リリカルなのは』楽曲を畳みかけてオーディエンスを圧倒する。MCでは自身の誕生日当日にライブを開催できる喜びを「今年は4+3で“7(奈々)イヤー”だから、最高に幸せな年になると思っていて」と満面の笑みで語り、「最後まで思いっきりかかってきてください。『LIVE HEROES』、出動!」と高らかに宣言。「SECRET AMBITION」など、次々にアグレッシブな楽曲を投下していった。
そしてバックバンドのCherry Boysの紹介コーナーを挟み、今年の干支にちなんだウサ耳カチューシャを戴いて白ベースの衣装にお色直しした水樹がアリーナ中央に設置された花道に出現。バックダンサーのteam YO-DAの8名を従え、「Angel Blossom」や「Take a shot」といった楽曲群を統制の取れたダンスパフォーマンスとともに披露していった。
なおウサ耳については、12年前の卯年にあたる2011年に行われた自身初の東京ドーム公演『NANA MIZUKI LIVE CASTLE 2011』においてウサ耳を装着して踊った際に発した「次は干支が一周したときに」という公約を遵守した形だ。年齢を考慮すると躊躇する気持ちもあったという水樹だが、「私、約束を守る女なんですよ」と誇らしげに胸を張る。さらには12年後の2035年にもウサ耳姿を披露する考えを示唆すると、客席からは大きな拍手。「本当に見たいですか? 言ったね? 12年後にドン引きしないでよ?」と照れ笑いを浮かべていた。
そして「唯一のバラードゾーン」という位置づけで「ストラトスフィア」「深愛」を深みのある切実なボーカル表現でじっくりと聴かせたのち、おもむろにメインスクリーンにてショートムービーの上映が開始された。水樹扮する“HERO NANA”が悪の組織の戦闘員やボスを相手にバトルを繰り広げる内容で、中盤には『魔法少女リリカルなのは』で共演した声優・植田佳奈がコミカルなゲスト戦士“ウエダカンヌ”としてサプライズ的に登場する一幕も。極寒の横浜で2日かけて撮影されたという本格クオリティの映像に客席は惜しみない称賛の拍手を送るが、この映像によって「ますます“水樹は強い”説が声優界に広まってしまう」ことを懸念する水樹は、「杉田(智和)くんの目にだけは入れないようにしなければ」との方針をユーモアを交えて話していた。