アーティストやアイドルが音楽家・バンドマン役を演じる難しさ イメージの合致とリアリティが必須要素に

 今クールのドラマに目を向けると、King & Prince・永瀬廉が作曲家として成功することを夢見る青年を演じる『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)がオンエア中だ。ジャニーズアイドルが音楽家を演じるドラマといえば木村拓哉が一世を風靡した『ロングバケーション』(1996年)を想起する(脚本も同じ北川悦吏子だ)が、当時木村が演じたのがピアニストであるのに対し、永瀬が演じる海野音はDTMの作曲家だ。

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 時代を反映したキャラクター設定と言えるが、ピアノを演奏するシーンもあるものの、やはり画としては地味になってしまう。また永瀬廉が放つスター性と華やかさが、裏方に徹する内気な作曲家という役柄に対して現時点ではややギャップがあるようにも見える。

 しかしだからこそ、描き方次第では全く新たなタイプの”アーティストがアーティストを演じる作品”になる可能性を秘めているようにも思う。永瀬廉が所属するKing & Princeはメンバー自ら楽曲プロデュースを行っている。“歌って踊るアイドル”という表現者でありながら、楽曲やパフォーマンスをどう聴かせ、どう見せるかという部分にもこだわりを持つ、裏方的な顔も兼ね備えているという強みがある。今後、音の作る音楽がよりフィーチャーされる展開になっていくとすれば、グループの中で培った経験がドラマの説得力を強めるかもしれない。永瀬廉の持つ強みが大きく活かされる展開に期待したいと思う。

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