『アイドルマスター ミリオンライブ!』多彩な音楽性はなぜ生まれた? ソロ&ユニットの自由度と人気作家による沼れる楽曲群
『アイドルマスター ミリオンライブ!』の楽曲が、 2022年12月17日より各サブスクリプションサービスにて配信された。『アイドルマスター』シリーズはアイドルプロデュースゲームからスタートし、そこからアニメシリーズや数多くの音楽作品が生まれ、最初のゲームシリーズから約17年経った今もなお、アイドルコンテンツの最前線を走り続けている。
これまで『アイドルマスター』シリーズはCDをメインに音楽作品を展開してきた。それゆえに、主にリスナー層はファンがメインだったと言えるだろう。しかし、楽曲提供に参加する作家は日本のアイドルやアニメ音楽シーンを牽引する猛者が並ぶ。2022年より『シャイニーカラーズ』『シンデレラガールズ』『SideM』『アイドルマスター』と各ブランドの楽曲のサブスク配信がスタートしたことで、また新たな層に『アイドルマスター』シリーズの音楽の魅力が伝播している印象だ。
楽曲配信数において『ミリオンライブ!』は、歴代シリーズ屈指の多さを誇る約490曲。なぜこれほどまでに楽曲数が多いのか。それはキャラクターの人数の多さや組み合わせの自由度の高さなどがある。765PRO ALLSTARSという13人のアイドルと、その後輩にあたるMILLIONSTARSという39人のアイドルを合わせた計52人。その一人ひとりがソロ楽曲を複数持ち、さらにテーマにあわせて新たなメンバーの組合せで展開するユニット曲も複数あるため、おのずと楽曲数が膨大になったのだろう。
ユニット曲の場合は、そのユニットが持つコンセプトによって楽曲の方向性がある程度は定められるものだが、ソロ楽曲は各キャラクターの個性が反映されているのが特徴的だ。
例えば、読書好きで人見知りをする性格だが根は明るいという七尾百合子が歌う「空想文学少女」。〈ページめくって「恋」だって気づいたこの気持ち〉や〈恋愛小説は今日もフィクションのままで〉と、キャラクターの性格を意識した歌詞になっていると同時に、アイドルとしての立場から綴られた恋愛の歌になっているように思える。曲調は落ち着いたテンポだがメロディや音色は華やかなサウンドになっており、ここにも七尾百合子のキャラクターの特性を感じさせる。『ミリオンライブ!』は、各キャラクターの個性はありながらも、楽曲に関してはいわゆるユニット的な色分けは少ないと言える。一人ひとりがその時々でポップスやロック、ファンクなど様々なテイストの楽曲に自由に挑戦していく。1人のキャラを好きになると、自然と様々なタイプの音楽に触れることができるのだ。