『アイドルマスター シャイニーカラーズ』人気作家による多彩な音楽性 個性際立つ各ユニットの魅力を紐解く
『アイドルマスター シャイニーカラーズ(通称:シャニマス)』の楽曲が、11月30日から順次サブスク配信されることとなった。同日に解禁されたのは2022年に発表された『PANOR@MA WING』の01~08の8作品と『Synthe-Side』の01~03、2021年発表の『COLORFUL FE@THERS -Sol-』と斑鳩ルカ(CV:川口莉奈)「神様は死んだ、って」の計13作品である。近年発表された作品を中心に解禁するようで、これを機に最新の『シャニマス』の魅力を知ってもらいたいという意図があるのかもしれない。
『シャニマス』は今年4月に幕張メッセでライブを開催したほか、来年には国立代々木競技場 第一体育館での2デイズライブも決まっている。確かな人気を持っているコンテンツではあるものの、サブスク解禁されていなかったこともあり、まだその存在や楽曲が浸透しておらず、音楽ファンや一般層に楽曲が正当に評価されていないように感じる。ゲームから派生したもので、音楽は“おまけ”のようなものと思っている人もいるかもしれない。しかし音楽面にも力を入れていて、個性的な楽曲が揃っているのだ。
例えば今回サブスク解禁された4周年楽曲「虹の行方」も丁寧に作り込まれた楽曲だ。『シャニマス』はイルミネーションスターズ、アンティーカ、放課後クライマックスガールズ、アルストロメリア、ストレイライト、ノクチル、シーズの7つのユニットで構成されており、それぞれ音楽性も違う。しかしこの楽曲は7ユニット合同の全体曲で、メロディや全体のアレンジは、グループ全体のイメージに合わせた王道アイドルソングと言えるキャッチーさと華やかさがある。だが途中で流れるように曲調や雰囲気が何度か変わっては戻る不思議な編曲でもある。それは「どのユニットの歌唱パートか」によって部分的に編曲を変えているためだろう。つまりユニットごとに異なる音楽性に合わせており、音楽的な完成度だけでなく、グループとしての意味を込めた編曲をしているのだ。
ユニットの楽曲もそれぞれ違う方向性ながらも作り込まれている。イルミネーションスターズは可愛らしく華やかな楽曲が多い。今回配信される「FELICE」も美しいメロディと華やかな編曲が印象的なポップスだ。丁寧に作られた王道ポップスを歌うのがこのユニットに思う。対してアンティーカはハードロックやメタルの影響を感じる音楽性だ。イルミネーションスターズとは真逆の方向性と言える。例えば「浮動性イノセンス」は北欧シンフォニックメタルの影響を感じる楽曲である。テクニカルなギターソロや重厚なドラムやベースが印象的ながらも、音数が多く壮大さのある編曲だ。そんなクールな楽曲だが、歌声からは可愛らしさを感じ、メロディはポップだ。それによって他にはない個性が生まれていると言える。