BABYMETAL、“THE OTHER ONE”で気になる新展開も 歓声やウォール・オブ・デスを取り戻した1年9カ月ぶり復活ライブ

BABYMETAL、1年9カ月ぶり復活ライブ

  BABYMETALが1月28日、29日に千葉・幕張メッセ国際展示場でワンマンライブ『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』を開催した。

 2021年10月10日をもって“LEGEND(=ライブ)”を封印してきたBABYMETAL。約1年9カ月ぶりの復活ライブにてBABYMETALは、10年間の活動のなかで築き上げてきた唯一無二のスタイルをブラッシュアップさせるとともに、この先の新たな展開を予感させるステージを繰り広げた。

 10年間の活動を経て“LIVING LEGEND”になったBABYMETALが、バーチャルワールド“METALVERSE”を通じ、もうひとつのBABYMETALを復元させる計画“THE OTHER ONE”の最終局面へと突入するーーというコンセプトのもとで行われた今回の復活ライブ。オープニングは封印が解かれる儀式だった。会場の真ん中に置かれた花道に、黒ずくめの“10のパラレルワールドから召喚された10人の使途”が姿を見せ、槍を掲げながら行進。キツネ像が刻まれた巨大な扉が開くと、そこには無数の剣がちりばめられた玉座が。そこに登場したのは、SU-METAL。そして、神バンドが爆音を鳴らす反対側のステージからはMOAMETALが姿を見せ、新曲「METAL KINGDOM」によってライブは幕を開けた。自らを奮い立たせ、信じる友と未知なる道へと踏み出していく意思を刻んだ歌詞が広がるなか二人は花道に置かれた移動型の円形ステージに向かい、合流。〈夜明けの時だ 光を浴びて/闇を切り裂け〉というフレーズが響き渡ると、オーディエンスは大きな歓声を上げた。

 この日のライブは“声出しOK”。来場者全員には2021年のライブと同様にフェイスマスク「Savior Mask」が配布されたが、今回はマスク着用のうえ、大声での歓声やシンガロングが解禁されたのだ。スタンディングエリアにはモッシュピットも設置され、新曲「Divine Attack - 神撃 -」では早速サークルモッシュが出現。「Distortion (feat. Alissa White-Gluz)」ではSU-METALが「幕張! 盛り上がる準備はできてるか!」とシャウトし、さらなる大歓声が沸き起こった。そして「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」では炎が立ち上がり、観客はタオルを振り回しながら踊りまくる。そこにあったのは、コロナ以前のライブの風景。『BABYMETAL RETURNS - THE OTHER ONE -』と題された今回のライブは、BABYMETALの復活であると同時に、ライブエンターテインメントが本格的に戻ってきたことを明確に示していた(ちなみに会場内には、「SILENT MOSH'SH PIT(オールスタンディング)」も設置されていた。体力に自信のない方、小さな子供連れの方などを対象としたエリアで、声出しは禁止。こういった配慮も、今後のスタンダードになりそうだ)。

 この後は1stアルバム『BABYMETAL』(2014年)に収録されている楽曲を次々に披露。「ギミチョコ!!」ではSU-METALが「最後まで楽しもうね!」と呼びかけ、超ド級のヘビィネスをたたえたサウンドとポップでキュートなメロディ&ダンスが結合。そして「メギツネ」では、ダークな音像と日本古謡的なメロディが共鳴し、観客のシンガロングが発生。「なめたらいかんぜよ」というSU-METALの迫力満点のセリフに対しても、大きな歓声が送られた。2010年に“Kawaiiとメタルの融合”というコンセプトで活動をスタートさせたBABYMETAL。10数年が経った現在、その音楽性とパフォーマンスは完全に確立され、幅広い音楽ファンからの支持を得ている。1年9カ月ぶりとなった今回のライブでは、演奏のクオリティや演出のスケール感がさらに向上。核となっているのはもちろん、SU-METALのボーカルとMOAMETALのパフォーマンスだ。

 バーチャルワールド“METALVERSE(メタルバース)”を通じ、“もうひとつのBABYMETAL”を復元させる計画「THE OTHER ONE」に関する映像のあとは、初期の楽曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」。SU-METAL、MOAMETAL、アベンジャーズ(サポートメンバー)がキュート全開のステージを繰り広げていると、もう一つの円形ステージにBABYMETALの姿を模した3人が登場。新しいBABYMETALのスタイルを予感させるような演出も印象的だった。

 個人的にもっとも心に残ったのは、この後に披露された新曲「Light and Darkness」「Monochrome」。憂い、ダークネスを濃密に感じさせながら、その先にある希望の光を見せてくれるこの2曲は、3月24日リリースのコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』においても重要な役割を果たすことになりそうだ。壮大なメロディライン、深淵なメッセージ性を描き出すSU-METALのボーカルも圧巻。「この暗い世界をみんなの光で照らしてほしい」という声に応え、観客がスマホのライトを掲げるシーンも、今回のライブのハイライトだった。

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