結成1年目の新人バンド・ブランデー戦記がバイラル首位に スリーピースで生み出す、切なくも心に残るグルーヴ

 謎の怪電波を掴んでしまったような不鮮明な音響のなかに響くイントロ。ノイジーなギターと遠くに聞こえる〈私に足りないのは人生経験と/あと何かしら〉という言葉が意味するところを漠然と想像しているうちに、ドラムのスティックカウントから一気にスリーピースバンドとは思えない分厚いサウンドへなだれこむ。昭和の歌謡曲っぽさを感じさせるアンニュイな歌詞とは裏腹に、スウィングするリズムと強い存在感のリズム隊が、ぐいぐい推進力を生み出してゆく。セピア色の歌詞と強い生命力のあるサウンドの対比が楽曲の奥行きを演出しているようだ。

 〈私がクラシックを/分かるようになったら/結婚してくれる?/週末にはコンサート/ブラックコーヒーを2人で飲むのよ〉という印象的なフレーズを抜き出しても「クラシック」「ブラックコーヒー」のような固有名詞が楽曲全体に漂うどこか切ない雰囲気を感じさせる一方で、サウンドとしては、スリーピースらしくギター、ベース、ドラムが放つ個性の三つ巴感が、コッテリとしたグルーヴを生み出す。このようなある種の「心に引っ掛かる良い違和感」が多くのリスナーに響いている要因なのかもしれない。すでに新人らしからぬ風格を漂わせるブランデー戦記。ブランデーのように芳醇に香り立つ彼女たちの世界観にぜひ浸ってほしい。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2023-01-25

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