連載「lit!」第35回:ぬゆり×和田たけあき、DECO*27×ピノキオピー、MI8k×星街すいせい……様々なスタイル展開するボカロPたち
星街すいせい「放送室」
作詞・作曲・編曲からミックスまでをボカロP・MI8kが手がけた「放送室」は、1月25日にリリースされる星街すいせいの2ndアルバム『Specter』収録曲。同アルバムは、MI8kのほか、Ayase、キタニタツヤ、じん、ナナホシ管弦楽団などボカロシーンで頭角を現した豪華ボカロPが楽曲を提供した。星街すいせいのセンチメンタルなボーカルとアコースティックな雰囲気から徐々に力強くなるバンドサウンドは、前を向き、続けることを選択した人々の背中を押す。バーチャルな“宇宙”を楽曲の舞台にすることの多い星街すいせいにとって、「放送室」の実写MVはレアと言える。歌詞には、〈届いてほしいのはSOSじゃなくて 優しい言葉〉と、星街すいせいとサウンドプロデューサー・TAKU INOUEによるMidnight Grand Orchestraの1stシングル「SOS」を想起させるワードも組み込まれている。星街すいせいの新たな姿で魅せるとともに、丁寧に彼女に寄り添った1曲だ。
音楽シーンにおいて、今はふとしたところに、ボカロの要素が転がっている。その活動がよく見えるようになったのも、それだけボカロシーンにスポットライトがあたっている証左だ。日々、フレッシュなボカロPが増えている今、ボカロPが活躍する場もますます拡張していくだろう。