角巻わため、迷いや不安の中で見つけた“音楽”という居場所 作詞曲「夢見る羊」に込めた未来への強い意志
ホロライブプロダクション所属の角巻わためが、オリジナル曲「夢見る羊」を6月6日にリリースした。同曲は、楽曲提供は堀江晶太が務め、作詞は本人自身が担当。VTuberデビューから現在に至る道筋を辿りつつも、新しい未来に向けて力強く進んでいく様子をイメージさせるポップソングとなっている。
デビュー初期から歌枠「わためぇNight Fever!!」をスタートし、オリジナル曲もコンスタントにリリース。自身で作詞を精力的に行うなど、並々ならぬ情熱を持って音楽活動に打ち込んできた角巻わため。配信では“ふわふわ”とした甘い声が魅力的だが、歌唱においては普段の彼女の声にフィットしたポップソングはもちろん、クールな歌声を響かせるロックナンバーや、情感豊かな歌声を披露するバラードなど、色彩豊かなボーカルを駆使して楽曲の世界観を表現。最近はホロライブからメジャーデビューアーティストも増えているが、その後に続く存在としての期待も高まっている。
角巻はなぜ、現在まで強い意志を持って音楽活動を行なうことができたのか。もともと歌うことは苦手だったというが、歌や作詞を通して気持ちを表現することの喜びを知り、その音楽を受け止めるファンの存在が、彼女にとって歌を必要不可欠なものとした。本インタビューでは、彼女の音楽活動にフォーカスを当て、歌唱や作詞についてはもちろん、歌手としての未来像について話を聞いた(編集部)。
LiSAさんみたいに、魂から熱く歌っているような歌声には憧れます
ーー配信やアイドル活動、歌などを行っていますが、昔から自分の中にあるものを表現したい気持ちはあったんですか?
角巻わため(以下、角巻):昔は歌もそんなに好きではなかったんです。カラオケとかに友達と行っても、声が通らなかったり、音を外しちゃったらどうしようとか思っちゃうタイプで、歌うより聴き専の方だったんですよ。
ーー影響を受けているアーティストはいますか?
角巻:ポルノグラフィティさんとか、LiSAさんですね。LiSAさんみたいに、魂から熱く歌っているような歌声には憧れます。MYTH & ROIDの「L.L.L.」とかも好きなんですけど、激しめの曲が好きなのかもしれないです。
ーー普段はふわふわしているイメージなので、ちょっと意外でした。VTuberの存在を知ったのは誰の配信がきっかけだったんですか?
角巻:一番心が持っていかれたのはおかころ(猫又おかゆ、戌神ころね)ですね。「おかゆ先輩ところね先輩、てぇてぇ~」と思って、ハマりました(笑)。その前からキズナアイさんとかシロちゃん(電脳少女シロ)とか、四天王と言われる人は風の噂で知ってはいたんですけど、おかころで心が持っていかれたっていう。
ーー今のホロライブメンバーでの推しって言うと誰なんですか?
角巻:えぇ~難しいなあ。でもおかころかなあ。やっぱり全員かなあ、わためかなあ(笑)。あと、フブちゃん(白上フブキ)とふーたん(不知火フレア)の3人で“バカタレ共”っていうのをやってるんですけど、みんなでご飯を食べに行ったり、遊びに行ったりもしますね。あとぼたんちゃん(獅白ぼたん)とかかなあ。一緒に「ししわたクッキング」っていう曲も作ったし、温泉にも行ったし。
ーーホロライブに所属したいと思ったのにはなにか理由があったんですか?
角巻:ホロライブメンバーがみんな可愛くて面白くて魅力を感じたのと、3Dとかもみんな綺麗に表現されていて、Live2Dと3Dでいい意味で差がないというか。あとはタレントの募集も常にやっていて。期限なく、いつでも募集中みたいにホームページに書いてあったので、思い立ったときに応募できたのもホロライブでVTuberの道に踏みだせたきっかけなのかもしれないです。期間限定だったら違ったかも(笑)。
わためいとたちへの思いも詰まったような歌詞になりました
ーーそうなんですね。今回の新曲「夢見る羊」はどのように作られたんですか?
角巻:堀江晶太さんとミーティングをして。どんな曲にするかという話し合いをがっつりさせてもらって、誕生日っぽい明るい楽しい曲みたいな感じでお願いしました。ありがとうとか、おめでとうみたいな感じの曲。でも、いただいた曲を聴きながら歌詞を書いたら、誕生日感はなくなっちゃった(笑)。
ーー今までのわためさんの活動を振り返ると同時に、先に進んでいこうと決意表明する感じが誕生日の節目に合っていると思ったんですが、そういう意識をされたわけではないんですね。
角巻:そうですね。自分がホロライブでデビューしたときから今に至るまでの心情を思い出してみて。デビューして声が震えてうまく歌えなかったりとか、緊張して配信がうまくできなかったりとか、不安な気持ちから配信中に泣いちゃうときもあったんですけど、ファンのみんなに自信と夢をもらって、目指すべきところも見つかって。そんなこれからの活動に対する、わためいと(ファン)たちへの思いも詰まったような歌詞になりました。
ーー曲調としては、明るかったり落ち着いたり、わためさんの歌声の幅広さが反映されているなと感じました。
角巻:ずっと楽しい感じではなくて、想像よりもエモサビの曲になっているなと思いました。歌詞も明るめのパートと少し暗めのパートが分かれている構成にしたので、気持ちの変化や未来に抱いている希望とか、エモさ、コロコロ変わる表情を歌でも表現できるように気を付けて歌ってみたつもりです。伝わったらいいなぁ。
ーー先程不安な気持ちもあったというお話もありましたが、具体的にはどういう部分が不安だったんですか?
角巻:最初はどういう方向性で配信したらいいのか迷ってましたし、歌の面でも周りに上手い人がいっぱいいるなって思ったり。それに自分の歌に全然自信が持てなかったので。あとは“クソザコ回線”でなかなか思うように配信を進められなかったり、コラボとかも自分の枠に人を呼べなかったりして、そういった面でもうまくいかないなって……。
ーーその時に支えてくれたのは、やっぱりファンだったんですかね?
角巻:“クソザコ回線”のことは、コメントで「いつかこのことが笑い話にできるようになったらいいね」とか励ましてくれたり、あとは同期の子も「わためは悪くないよねぇ」ってネタにしてくれたりとか。周りに支えられてちょっとずつ、「止まってたらいけないよな」みたいな気持ちになれました。
ーー回線トラブルも「クソザコ回線卒業!のうた」に昇華してますしね(笑)。今はチャンネル登録者数120万人を超えてファンの方もたくさんいます。自信はつきましたか?
角巻:昔よりはちょっと。でも全然ちょっとですね。まだまだ満足できないです。満足しちゃったらそこで力尽きるというか、終わっちゃう気もしていて。自分を奮い立たせるために、いつまでも燃え尽きたくないなと思っているのかもしれないですね。もっともっと上にいけるやろ!って思っていたいです。