「誰にでも好かれるTHE ALFEEでいたい」 THE ALFEEの“いいところ”を再確認した99回目の武道館公演
音楽コンサートにおける日本武道館公演数第1位を誇るTHE ALFEEにとって98回目となる12月23日、99回目となる12月24日『THE ALFEE 2022 Winter Genesis of New World Final 冬の天地創造』が開催された。今回レポートする12月24日クリスマス・イブの公演は5年ぶりの休日開催。チケットは早々に入手困難に。この日も北西、北東の2階最上席まで埋めつくされ、立ち見席も多く販売されたという。
会場の時計が開園時間の18:00を表示し、THE ALFEEの登場を待ちわびる観客の拍手のボリュームが大きくなる。讃美歌が流れ、客電が落ち、ブルーのライトがステージに照らされると、客席は一斉に立ち上がる準備に入る。スモークがたかれる中、ドラム音と共に青と赤の照明が輝くステージ中央から、高見沢俊彦(Vo/Gt)、坂崎幸之助(Vo/Gt/Per)、桜井賢(Vo/Ba)が登場する。高く拳を上げながら高見沢、桜井がステージ左右に分かれて定位置につき、10月にリリースされた最新曲「星空のCeremony」でライブがスタート。桜井の艶やかな美声が響き渡り、会場にスイッチを入れる。間髪入れず、3人のスイッチボーカルが印象的な「Orionからの招待状」へ。昨年のこの日はこの曲でスタートしており、2015年のリリース以来、冬の定番曲になりつつあるナンバーだ。
2曲が終わったところで、鳴り響く手拍子の中、坂崎の「クリスマスイブライブ、今夜も盛り上がっていきたいと思います!」のMCが終わるや否やドラムが鳴り響き「FLOWER REVOLUTION」に。曲に合わせて飛び跳ねるメンバーに合わせて、手拍子をしながら飛び跳ねる観客。メインボーカルを取る坂崎を中央に残し、高見沢と桜井が北東、北西へと作られた花道の先へ移動する。パーカッションを叩きながら歌いこなす坂崎、花道をパワフルに動く高見沢、桜井はリズミカルに体を動かし続け最後は軽やかにスキップしながらメインステージ戻ってきた。この曲でいつも客席は十分に暖まる。前奏の美しいピアノ音が聴こえてくると、客席からは思わず「おお」と声が漏れ、3人の美しいハーモニーで始まる1984年のシングル「STARSHIP-光を求めて-」が始まる。次は、坂崎が左右の花道へと動き、メインステージ向かって左では、高見沢と桜井がそろいのポーズを決め盛り上げる。3人が同時に楽器のネックを高く掲げるポーズを取る間奏は、観客のテンションが上がる一瞬だ。高見沢のギターでミュージカル映画『オズの魔法使』の劇中歌「Over The Rainbow」が奏でられると共に、ステージには美しい虹の照明が作り出される。すぐさま歪んだ激しいギター音と怒涛のドラム音が鳴り響き、ハードロックナンバー「ジェネレーション・ダイナマイト」へ流れこむ。前奏部分で爆発音が鳴り響き、ステージ前方に炎が上がる。曲の早いテンポに合わせて、観客の拳も小刻みになる。すでにあたたまっていた場内は、もはや熱い状態に。
曲が終わり坂崎は「あっついな、熱くない?」と思わず、客席に話しかける。「先が長いのでお座りください」と坂崎が着席を促し、しばし3人のトークへ。恒例の「今日、THE ALFEEのライブが初めての人?」の問いかけに、1階最前列から2階後列まで、かなりの数の手が上がる。コントを交えたメンバー紹介や秋ツアーでも披露し、東京では今夜が見納めとなるマイケル・ジャクソン風やブルース・リーが熱いおでんを食べたときの「伊勢佐木町ブルース」を桜井が披露。これも恒例、ツアーグッズの販売促進を担当する「桜井営業部長」のグッズ紹介コーナーへ。直立でグッズを紹介する桜井の後ろで、高見沢と坂崎がグッズの「ピーカンナッツチョコ」を投げて口でキャッチするパフォーマンス。坂崎が1回見事キャッチし、客席から拍手が上がる。「演奏会に戻っていきたいと思います」の坂崎のアナウンスで、バラードタイムへ。「クリスマス・イブに演奏するのは久しぶり。1985年のシングル『霧のソフィア』」と曲名が紹介されると同時に観客からは、また抑えていた歓喜の声が上がる。高見沢がギターを抱きながら優しく歌うナンバーで、武道館は一気にロマンティックな気分になる。吹雪の音とともに短い曲が流れ、高見沢もアコースティックギターを持ち『Battle Starship Alfee』より「風に消えた恋」へ。優しい歌声の坂崎のボーカルと2本のアコースティックギターのハーモニーが美しい。ここで短いピアノ曲がつき、次の曲へ。曲間の短い曲を聴く時間は「次は何の曲だろう?」と想像を駆り立てられて楽しい。次は秋ツアーでも披露されてきた1987年のアルバム『U.K.Breakfast』より、情熱的なナンバー「Far Away」。
一旦、坂崎と桜井がステージを後にし、高見沢のMC。「活動休止もせずツアーを続けているからこそ、85年や87年のナンバーも懐メロにならない」と胸を張る。ここで、2006年からドラムスを担当する吉田太郎、2007年からキーボードを担当するただすけを「欠かせない、支えてくれているサポートメンバー」として紹介する。ライブ本編でこんなに2人をしっかり紹介するのはめずらしい。そしてMCでは「THE ALFEEのいいところってなんだろう?」という疑問を呈示。「長く活動を続けている」「比類なきものがあるゆるさ」「柔軟性、協調性があって端的に言い表せば、偉そうにならない“貫禄のない大御所”」「3人とも健康」「お互いをあまり非難しない」と、高見沢が自答。最後に「THE ALFEEってオーバーだよね、タイトルもあえて大仰にしている。その中でも群を抜いて大仰なタイトル」と言う、アルバムタイトルナンバー「天地創造」が紹介され、座っていた客席が立ち上がる。