南條愛乃、“キャラソン”セルフカバーで振り返る声優としての歴史 八木沼悟志によるミルキィホームズ「ココロノエデン」編曲秘話も

南條愛乃、“キャラソン”セルフカバー解説

 南條は「『ミルキーホームズ』をやっていた頃、アニメの制作サイドから『fripSideのパロディをやってもいいですか?』というお話をいただいて。『いいんですか? もちろんです!』とお答えしたんですけど、確かにいただいた『ココロノエデン』はfripSideっぽい曲で、しかもアニメのト書きにも『小衣の後ろでキーボードを弾く九木沼』と書いてあったんです(笑)。お客さんに見えないト書きにまでパロディを取り入れて、しかもアニメの中で小衣が着ている衣装も当時『MUSIC JAPAN』(NHK総合)にfripSideで出演したときに私が着ていたものを描き起こしてくれて」と原曲制作当時を振り返りつつ、「そういうエピソードもあったから、今回この曲をセルフカバーすると決まったときは私からsat(八木沼)さんにアレンジをお願いしたいと言ったんです。fripSideを卒業したこのタイミングで、本編にsatさんが参加してもらうのはまだちょっと早い感じもしますし、でも何もないのもfripSideファンには寂しいものがあるだろうなと思ったので、だったら逆輸入の逆輸入で『ココロノエデン』をsatさんにアレンジしてもらえないだろうかと思ってお願いして。そうしたら快く『引き受けさせていただきます』という返事をいただけたので、satさんと再びご一緒する機会ができたんです」と今回のコラボレーションを説明する。

 一方の八木沼も「原曲も『ミルキィホームズ』においてfripSideのパロディという位置付けで制作されたとのこと、そしてこの度編曲のご依頼をいただき、大変ありがたいことだなと思いました。編曲の話をいただいたときに南ちゃんにショートメッセージしたところ、『そうなんですよ、思いっきりfrip色に染めてくださいね!』 というやり取りもありました」と、このオファーを喜んで引き受けたと回答。原曲を聴いた際も、「『なるほど、確かに構成はfripSideっぽい!』とは思いました。頭サビ、間奏、Aメロ、A'、Bメロ、サビ……といった一連の流れ、それとメロディとコードの当たり感がfripSideを意識して作られていらっしゃるのかな、と思いました」という印象を持ったという。

 このコラボレーション情報が解禁された際、SNSを通じて大きな話題となり、八木沼自身がTwitter上で「ココロノエデンがリリースされた2011年の2期fripSideをイメージして編曲しました!」(※2)とこの曲との向き合い方についてコメントしたところ、さらに大きな反響を呼んだ。この件について八木沼に質問したところ、「当時のシンセ音源を使ったり、当時の僕の制作内容を思い出したりしながら作りました。これがやってみると中々難しいんですよね(笑)。制作環境も僕の制作もブラッシュアップしているので、2011年の自分を再現するのは大変でしたが、その感じは出せたかな、と思っています!」と回答。こだわったポイントについても話を聞くと、「効果音やアレンジを厚くし過ぎると、現在のトレンドっぽくなってしまうので、引き算の編曲を心掛けました。fripSideのコアな部分だけ残すようなアレンジになったと思います」と説明してくれた。

 サウンド、アレンジ的には2011年当時ーーfripSideでいうと「Heaven is a Place on Earth」や「way to answer」の頃だろうかーーを意識してリアレンジされた「ココロノエデン」。それを歌う南條のボーカルは当然ながらfripSide的ではあるのだが、同時にソロアーティストとしての彼女の側面も強く伝わる。fripSideを卒業したあとだからこそ、こうした“融合”ぶりも楽しめるようになった、と解釈できる稀有な1曲ではないだろうか。そんな南條愛乃のボーカリストとしての魅力を、fripSideで13年にわたり活動を共にしてきた八木沼は以下のように語ってくれた。

「飾らず、等身大で人を魅了できるといいますか。だから南條ワールドはファンの皆様にとって、とっても居心地が良いんだと思います。また、何度でも言いますが、あの声は唯一無二なんですよね。それは誰にも真似できない南條さんらしさなので、僕としても今後の彼女の活動をますます楽しみにしています」

 ソロアーティストとして10年もの歴史を重ねてきた南條が、過去の経験をひとつに集約させることに成功した力作『ジャーニーズ・トランク』。アルバム本編はもちろんのこと、キャラソンのセルフカバーに挑んだボーナスディスクでもその試みは見事に花開いたと言える。このキャラソンセルフカバー5曲はサブスク等では未配信となっており、パッケージでしか聴くことのできない貴重な音源にぜひCDで触れていただきたい。

※1:https://realsound.jp/2022/12/post-1215788.html 
※2:https://twitter.com/sat_fripSide/status/1594897858775633920

■リリース情報
5thオリジナルフルアルバム
『ジャーニーズ・トランク』
発売日:2022年12月21日(水)
品番/価格:<2CD+Blu-ray>GNCA-1629 / 税込価格¥7,150
発売元・販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
https://lnk.to/yoshino_nanjo_journeystrunk

<収録曲>
・Disc1/CD INDEX
01.blue -青の記憶
02. 最初の 10 歩
03. 雨音と潮騒
04. シンプル
05. EVOLUTiON:(TV アニメ『進化の実~知らないうちに勝ち組人生~』OP テーマ)
06. この胸に名もなき星
07. 静夜行
08. IRO
09. ヒトリとキミと(TV アニメ『天才王子の赤字国家再生術』ED テーマ)
10. ヨルゴト
11. Lonely voyage
12. ハートリップ
13. ジャーニーズ・トランク

・Disc2/CD INDEX>
01. 鏖鋸・シュルシャガナ/『戦姫絶唱シンフォギア G』月読 調
02. SENSE OF DISTANCE/『戦姫絶唱シンフォギア GX』月読 調
03. 冬がくれた予感/スマートフォンゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』 BiBi~絢瀬絵里・西木野真姫・矢澤にこ from μ's~
04. Lost Heaven/PC ゲーム『シュヴァルツェスマーケン 殉教者たち』リィズ・ホーエンシュタイン
05. ココロノエデン/『探偵オペラ ミルキィホームズ』明智小衣

・Disc3/Blu-ray INDEX
・ジャーニーズ・トランク MV (short ver.)
・南條一間 ~シーズン 6~(全6話)

*初回生産分特典
・特製スリーブケース仕様
・フォトブック(28P)
・「南條愛乃 Live Tour 2023 ~ジャーニーズ・トランク~」ライブ先行予約応募用紙(シリアル コード付)

『ジャーニーズ・トランク ~Memorial Music Clips~』
発売日:2022年12月21日
品番/価格:<Blu-ray>GNXL-1009 / 税抜価格¥5,500(税込価格 ¥6,050) ◯ 発売元・販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント

<収録曲>
・Blu-ray INDEX
01. blue <short size>
02. 君が笑む夕暮れ
03. あなたの愛した世界
04. 黄昏のスタアライト
05. きみを探しに
06. ゼロイチキセキ
07. 光のはじまり
08. 一切は物語(feat.やなぎなぎ)
09. 君のとなり わたしの場所
10. サヨナラの惑星
11. 藪の中のジンテーゼ
12. believe in myself -acoustic arrange making MV
13. 涙流るるまま
14. EVOLUTiON:
15. A Tiny Winter Story MV version
16. A Tiny Winter Story Lyric Video version
17. ヒトリとキミと
18. ジャーニーズ・トランク
*初回生産分特典:特製スリーブケース

■ライブツアー情報
『南條愛乃 Live Tour 2023 ~ジャーニーズ・トランク~ 』
<開催日時/会場>
2023年4月23日(日)相模女子大学グリーンホール(神奈川)
2023年4月30日(日)NHK 大阪ホール(大阪)
2023年5月3日(水・祝)刈谷市総合文化センター 大ホール(愛知)
2023年5月7日(日)立川ステージガーデン(東京)

<チケット発売情報>
*ファンクラブ「ごきんじょるの 友の会」会員先行
2022年12月2日(金)18:00~2022年12月15日(木)23:59
*アルバム『ジャーニーズ・トランク』CD 封入先行
2022年12月21日(水)0:00~2023年1月15日(日)23:59
ライブツアーに関する詳細はこちら
https://www.gokinjolno.jp

■関連リンク
オフィシャルサイト:https://nbcuni-music.com/yoshino_nanjo/
オフィシャルファンクラブ「ごきんじょるの友の会」:https://gokinjolno.jp/
公式Twitter:https://twitter.com/nanjolno
公式Instagram:https://www.instagram.com/nanjolno/

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