&TEAM、デビューEPがチャート首位獲得 4曲でアピールポイント聴かせるお披露目に相応しい作品に
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-12-19/
2022年12月19日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのは、オーディション番組『&AUDITION - The Howling -』(Hulu/YouTube)発のボーイズグループ &TEAMの1st EP『First Howling : ME』で、推定売上枚数は150,504枚だった。ほか、トップ10圏内で今週初登場となっているのは3位EXILE『POWER OF WISH』(41,178枚)、4位RM『‘Indigo’ Book Edition』(25,123枚)、5位『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live 5th Anniversary CD』(19,281枚)、9位斉藤壮馬『陰/陽』(9,469枚)、10位ITZY『Cheshire』(5,301枚)だった。ちなみに、本連載で前回取り上げたSEVENTEENの日本初EPが発売5週目にして98,490枚を売り上げて2位につけている。&TEAM、SEVENTEEN、そしてBTSのRMはいずれもHYBE傘下のレーベルに所属しており、トップ10のうち3つがHYBE関係ということになる。
本題に入る前に少し寄り道。RMのソロ作『Indigo』はエリカ・バドゥやアンダーソン・パークといったアメリカのR&Bシーンのビッグネームをフィーチャーしていることでも話題を呼んだが、タイトルが示すようなクールで落ち着いたトーンの楽曲が揃った渋いアルバムだ。低い声質とダイナミックに前に進んでいくようなフロウが活かされたディレクションが心地よいが、キム・サウォルをフィーチャーしたシンプルで優しく、みずみずしささえある「Forg_tful」が寒さの増すこの季節に染みいる。やわらかくメロウな前半と、メロディとビートに力強さが増す終盤の展開が映える「Closer (with Paul Blanco, Mahalia)」では、以前もコラボレーションの経験があるHONNEの相性の良さが感じられる。
さて、今回取り上げたいのは首位の&TEAM。上で少し触れたように、今年放送されたオーディション番組出身であり、傘下に多くの人気K-POPグループを擁するHYBEの日本本社HYBE LABELS JAPANが送り出す新たなグループとして注目を集める9人組だ。メロディアスでありながらちょっとしたフックのある複雑なリズムの譜割りが散りばめられた楽曲はキャッチーかつ聴き応えがあり、曲だけでもそのスキルの高さはひしひしと感じられる。
収録されているのは全4曲で、うち最後の1曲は『&AUDITION』のなかで披露されシングルリリースされた既発曲の再録音。一つひとつ、曲調を変えながらグループのアピールポイントを聴かせる、お披露目らしいEPという印象だ。
1曲目、先行曲でもある「Under the skin」はエモーショナルなギターが炸裂するアンセム的な楽曲で思わず胸が熱くなるが、シンガロングしたくなるような歌メロと思わせて、サビでは細かく階段を描くように下降するメロディラインが大胆ながら繊細に響いているのが面白い。つづく「Scent of you」は、メロディアスな要素はやや抑えめ。かわりに、跳ねるようなビートの上に細かいフロウのバリエーションを仕込むことで、ループ感の強い楽曲のなかに豊かな起伏をつくりだしている。この2曲の流れは、メロディアスなアプローチとフロウ重視のアプローチにそれぞれ焦点をあてている、と言えると思う。