Hi Cheers!、歌と演奏のハーモニーが織り成す温かなステージ 『集まろうぜ、渋Yeah!!』に込められた4人の決意
11月13日、Hi Cheers!のワンマンライブがShibuya duo MUSIC EXCHANGEにて開催された。今回のライブには『集まろうぜ、渋Yeah!!』という公演名がつけられていた。duo MUSIC EXCHANGEは、昨年4人が初めてワンマンライブを開催した場所であり、約1年半の時を経て、同じ場所で再びファンとの“集合”を叶えることができた。Hi Cheers!は2020年にデビューしたバンドで、特に一昨年、昨年は、デビュー間もないタイミングにもかかわらず、コロナ禍における数々の規制の中で活動をせざるを得なかった経緯がある。だからこそ、みんなで集まって行うライブは、4人にとって非常に思い入れの深いもので、今回のワンマンライブは、そうした熱い想いがひしひしと伝わってくる一夜となった。
開演時間、ステージのスクリーンに、昭和の戦隊ヒーローのパロディ映像「ハイチーマン」が流れる。そして、Hi Cheers!にとっての合言葉「Show me your smile」が映し出され、そのまま1曲目の「愛じゃない!?」へ。Hi Cheers!は、メンバー4人全員がメインボーカルを務めるバンドである。それぞれのメンバーのボーカルリレーや4人全員の合唱など、楽曲の流れに合わせて、まるで万華鏡のように次々と歌の響き方や声の重なり方が変わっていくパフォーマンスに、冒頭から強く引き込まれた。また、サポートドラマーのたくろうによるパワフルな4つ打ちのリズムに乗せて、鮮やかな躍動感をもって鳴らされるカラフルなバンドサウンドも美しい。
2曲目は、2020年のデビュー曲「ABCがワカラナイ」だ。4人のコーラスワークは非常に豊かな響きを放っていて、ユニゾンで4つの声が重なった時のインパクトは大きくて深い余韻を残す。バンド形態でありながら、これほどまでに声や歌の力をダイレクトに伝えるバンドは稀だと思う。また、端正なポップスの中で、時折エモーショナルな響きを放つ高村風太(Vo/Key)の歌声には、何度も胸を熱くさせられた。もちろん歌声だけではなく、各メンバーの演奏も光っている。上野正明(Vo/Gt)からChie(Vo/Gt)にギターソロを繋ぐ展開や、「(not) just for show」における月川玲(Vo/Ba)のスラップを見て、Hi Cheers!の音楽は、それぞれのメンバーの高い演奏技術によって裏打ちされていることを改めて思い知った。
この日初めてのMCで上野は、昨年はコロナ禍における様々な規制があったことを振り返った上で、「今回は、集まろうぜ、と思いっきり言ってやりました!」と力強く叫んだ。その言葉にフロアから大きな拍手が巻き起こる。そうした温かい光景から、メンバーが今回のライブを心待ちにしていたように、一人ひとりのリスナーも同じ気持ちで会場に集まったことが伝わってきた。MCの後に披露されたのは、10月にリリースされたばかりの新曲「ぐるぐるユニバース」だ。サビの〈頭の中グルグルグル〉という歌詞に合わせて、観客がタオルを回す光景は、この日の眩いハイライトの一つだった。また、後半における各パートのソロ回し→1人ずつのボーカルリレー→ラストは4人で歌う展開は、まさにHi Cheers!の魅力を凝縮したもので、今後この曲が新しい代表曲の一つになっていく予感がした。
メインボーカルを担う月川が凛とした歌声を響かせた「Hello」の後、カメラのシャッターを切る効果音が鳴り、そのまま「SHUTTER CHANCE」へ。前半とラストサビ前の〈Show me your smile〉、また、後半における間奏前の〈『ハイチーズ!』〉という合言葉が象徴しているように、この曲はHi Cheers!にとってテーマソングのような大切な楽曲だ。軽やかなサウンドを通して音楽でリスナーを笑顔にさせるという4人の決意が伝わってきて胸が熱くなる。続く、打ち込みのエレクトロサウンドを駆使した「オレンジ色の憎いあんた」も、オレンジ色の照明と相まってとても美しく響いていた。