(sic)boy、海外シーンとも共振する“孤独”や“死”を昇華した音楽 エモラップの寵児 nothing,nowhere.とのコラボが意味するもの

(sic)boy、国内外で注目されるアーティスト性

 例えば昨年nothing,nowhere. がリリースしたアルバム『Trauma Factory』。ダークな内省世界を、歌とラップ、シャウトで築き上げる本作は、まさに2010年代後半のエモラップというジャンルの延長線上で、音楽的にさらにラディカルかつフリーダムな代物として産み落とされた傑作と言っていい。アルバムのカラーは統一しつつ、そこで繰り広げられる楽曲は多彩さにあふれる。例えば収録曲「Fake Friend」や「nightmare」などのメロディセンス際立つ楽曲がある一方で、「death」のようなハードコアな楽曲も並べられ、ヒップホップとロックジャンルへの接続を豊かな形で実践してみせる。また、暗く内省的な歌詞の主題を、アグレッシブかつメロディアスで解放的なサウンドに乗せてみせる表現においても、(sic)boyと同じく、内向きと外向き、その両側面を携えているといえる。

 話は前後する。2000年代ポップパンクカルチャーの重要人物 トラヴィス・バーカーが、ポップパンクリバイバルに湧く2020年代において、ヒップホップシーンに与えた影響は大きい。ロックとヒップホップの接続を、ポップパンク的なテイストに昇華させる近年のマシン・ガン・ケリーはその代表的な例だが、Travisと共演経験を持つlil aaronやnothing, nowhere.もそのうちの1人だろう。

 世界的な音楽シーンの潮流と、立役者たちがこの世を去った後、空虚なものとして残されたエモラップの音楽性と世界観の新たな解釈と応用。それらのストーリーが交わり、接続し、新鮮なバランスの作品やアーティストが出てくることは、まるでジャンルという内が外気に触れることによって瓦解されていくようだ。その渦中にいる(sic)boyとnothing,nowhere.に通ずるものを感じずにはいられない。

 「Afraid?? feat. nothing,nowhere.」はドラマチックなギターサウンドに(sic)boyとnothing.nowhere. 双方のメロディが溶け合うような、ラップと歌唱が同居する濃密な楽曲に仕上がっている。その様は、まるでジャンルが溶け合い、外と内という概念すらも消えていくかのようである。死について、つまりは何かが閉じていく感覚について描写するこの楽曲は、寧ろ多方面に“開かれている”。

※1 https://realsound.jp/2021/10/post-880359.html

「Afraid?? feat. nothing,nowhere. (Prod.Saint Patrick)」

■リリース情報
「Afraid?? feat. nothing,nowhere. (Prod.Saint Patrick)」
配信日:2022年11月23日(水)0:00
iTunes Store等主要配信ストア及びApple Music、Spotifyなど主要定額制音楽ストリーミングサービスにて配信中
レーベル:add. some labels

■ライブ情報
タイトル:(sic)boy one-man live "HOLLOW"
開催日時:22022 年12 月29 日(木)
開 場:18:00
開 演:19:00
料金:
1F スタンディング:5,000 円(税込)※整理番号付き
2F 指定席:5,000 円(税込)
会場:KT Zepp Yokohama
会場住所:〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい4-3-6
https://www.zepp.co.jp/hall/yokohama/
チケット購入
※未就学児入場不可
※ドリンク代別
※お1人様チケット4枚まで
※公演中止の場合を除き、お客様の体調不良および新型コロナウイルス感染によるチケットの払い戻しはいたしません。

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