藤澤ノリマサ、“変化のとき”をとらえたアルバム『Changing Point』 ライブを通じて見えた原点と新たな挑戦

藤澤ノリマサ、ライブを通じて見えた原点

 11月23日にリリースされた藤澤ノリマサのニューアルバム『Changing Point』は、デビュー15周年の記念作であり、作詞家・松井五郎の全面プロデュースのもと、成熟した大人のポップスの世界へ踏み込む“変化のとき”をとらえた作品になった。同じ日に東京・大手町三井ホールで開催されたBSフジ主催『藤澤ノリマサ コンサート~My Style 2022~』(昼夜2回公演)は、新曲を初披露する場であり、来年4月のデビュー15周年に向けて新たなスタートを切る大事な場だ。4人編成のバンドをバックに、藤澤ノリマサの新たな挑戦がここから始まる。

藤澤ノリマサライブ写真

 夜の部、1曲目は「Song Is My Life」。いきなりファルセットのハイトーンから始まる、難度の高いパートを完璧な表現力と精密な音程でクリアすると、そこからは唯一無二の藤澤ノリマサの世界へ。「僕にとっての『My Way』のような曲」と自ら語る、ドラマチックなスローバラードで観客の目と耳を一点に惹きつけ、明るく弾むテンポの2曲目「Aurora Curtain」で一気に開放する。ムソルグスキー「展覧会の絵」のメロディを使った、藤澤ノリマサのオリジナル“ポップオペラ”の代表曲に乗せて「クラップ・ユア・ハンズ!」と明るく呼びかける。ペンライトが客席でいくつも揺れ、あたたかな一体感がホールを包み込んだ。

藤澤ノリマサライブ写真

「今日は今までにないメンバーの集まりで、ちょっとロックテイストの入ったサウンドになっています。今日、僕の7枚目のアルバム『Changing Point』が発売になりました。その中からも、今までの曲からも、ぎっしりと詰まったセットリストになっていますので、最後までどうぞ楽しんでいってください」

 ぽつりぽつりと語るようなピアノ、ガットギターと弓弾きのウッドベースでしっとり聴かせる「地図のない道~AVE MARIA~」。スローバラードに乗せて得意のロングトーンを聴かせる「愛の奇跡」。そしてイタリア語と英語による壮大なバラード「Con te partiro (君と旅立とう) Time To Say Good Bye」では、2番のサビでマイクを外し、生の声でホールの後ろまで届く圧巻の歌を聴かせる。藤澤ノリマサの原点であるベルカント唱法の見せ場もたっぷり、それはただ聴き惚れるしかない素晴らしいシーン。

 「ダッタン人の踊り」は、言うまでもなく藤澤ノリマサのデビュー作で、ポップオペラの原点となった記念の1曲。バンドマスターでピアニスト・森丘ヒロキと目を合わせ、呼吸を合わせてリズムに乗る、笑顔いっぱいの自由奔放な歌い方が楽しい。あとで語ったところによると、どうやらその場のアドリブだったらしい。臨機応変のバンドのうまさが伝わってくる。力強いリズムと滑らかなエレキギターが、これまで以上にロックなフィーリングを運んでくる。

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