藤澤ノリマサ、“変化のとき”をとらえたアルバム『Changing Point』 ライブを通じて見えた原点と新たな挑戦

藤澤ノリマサ、ライブを通じて見えた原点

 ここからはニューアルバム『Changing Point』収録の新曲たちの出番だ。軽やかなディスコ/ファンク調のリズムに乗せた「Yes I do - キスはまだ終わってない」は、シティポップを感じさせる爽やかな装いの新機軸。すぐに覚えられる振付を使った、声を使わないコール&レスポンスもとても楽しい。「Ambivalence」も新たな挑戦で、スウィング・ジャズのグルーヴに乗って伸び伸び歌う姿がいい。クラシック、ポップス、ロック、そしてジャズシンガー、藤澤ノリマサの歌の引き出しはいったいいくつあるのだろう。

「『Changing Point』は全作詞・松井五郎、全作曲・藤澤ノリマサで、1年がかりで制作しました。次にお送りする曲は、恋愛だけではなく、愛にはいろんなかたちがあります。世の中が愛と平和で満ち溢れる時代が来ますように、と心を込めて、全世界に向けて愛を叫びたいと思います」

 そうして歌われた「愛するかたち」はメッセージ的にもアルバムの中核を成す重要な曲で、夢のないように見える世界にも、必ず希望の種はあると歌う壮大なバラード。これまでもピアノを弾いて歌うことは多かったが、自ら作曲した曲を弾く時の、シンガーソングライター的なたたずまいが新鮮に映る。続く「窓辺の羽根」もピアノ弾き語り+バンド形式によるバラードで、前半はアコースティックギター、後半は最小限のバンド演奏で、フォークシンガーのような素朴で自然体の歌い方が耳に残る。故郷の両親とのエピソードを彷彿させる、優しくもどこかせつない歌詞の風景が心に沁みる。

 木島靖夫(Gt)、福長雅夫(Dr)、森田晃平(Ba)、森丘ヒロキ(Pf)。音楽的にも人間的にも頼れるバンドメンバーを紹介すると、残すは2曲。「海がくれたバイオリン」は70歳の老人を主人公に、“新しいことを始めるのに年齢は関係ない”というメッセージを込めた現代の童話のようなストーリー。60年代~70年代のアメリカン・ポップスの香りをたたえたアレンジと、郷愁を誘うメロディが素晴らしい。そして本編ラストに歌われたのは、アルバムでは1曲目に置かれていたタイトル曲「Changing point」だ。せつなさの中に明るさがきらりと輝くメロディ、人生の悲しみを喜びに変えるために“自ら変わること”をうながす真摯なメッセージ。“変化のとき”というタイトルにふさわしい、聴き手を力強く励ます曲。

 アンコール1曲目も、『Changing Point』収録の「Return to Life」。アルバムの中でも最も明るく前向きなアップテンポの曲で、低音のメロディがサビに向けて上昇していくさまが、曇り空がみるみる晴れていくような爽快な感情を運んでくる。「Return to Life」には“再生”という意味がある。松井五郎の歌詞は、コロナ禍に翻弄された数年間を超えて、再生へと一歩を踏み出す勇気を力強い言葉で綴っている。

「来年は15周年ということで、みなさんと会う機会をたくさん作りたいと思います。飛躍の年にしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします」

 みなさんが健康で、笑顔で過ごせますように――。最後を締めくくるのやはりこの曲、ポップオペラの代表曲「希望の歌~交響曲第九番~」。1年の終わりに必ず流れるメロディに乗せ、来年はもっと幸せでありますようにと願う思いを、伝家の宝刀・ベルカント唱法で朗々と歌い上げる。ポップオペラという原点を忘れず、新たな未来へと向かうニューアルバム『Changing Point』。2022年の終わりにゆっくりとじっくりと聴いてほしい素晴らしいアルバムを完成させて、藤澤ノリマサの力強い歩みは続いていく。

■関連MV/リリックビデオ

2022年11月23日発売アルバム「Changing Point」から「愛するかたち」リリックビデオ
2022年11月23日発売アルバム「Changing Point」から「海がくれたバイオリン」リリックビデオ
ニューアルバム「Changing Point」より「Changing point」ミュージックビデオ公開
2022年11月23日発売アルバム「Changing Point」から「Return to life」リリックビデオ

■リリース情報
ニューアルバム『Changing Point』
2022年11月23日発売
全作詞 松井五郎/全作曲 藤澤ノリマサ
【初回限定盤】CD2枚組
品番:FRCA-1316/7 価格:¥4,620(税込)
仕様:デカ帯・ワイドケース 全14曲 + 特典ディスク7曲収録
<特典DISC内容>
『藤澤ノリマサ La Luce クラシカルコンサート2021』
(2021年9月5日、東京・紀尾井ホール)
1. Song Is My Life
2. 僕らはこの星で暮らすんだ
3. 橋-iL Ponte-
4. 漂泊
5. La Luce
6. VINCERO–ビンチェロ–
7. 希望の歌〜交響曲第九番〜
【通常盤】
品番:FRCA-1318 価格:¥3,520(税込)全14曲収録
【収録曲】※初回盤、通常盤共通
1.Changing point (album take)
2.Yes I do -キスはまだ終わってない
3.海がくれたバイオリン
4.さよならを言うだけで
5.愛するかたち
6.パンドラの耳打ち
7.琥珀のとき
8.花ノ音
9.窓辺の羽根
10.Christmas Wishes
11.Ambivalence
12.Behind the sky
13.Return to Life
14.君を愛してる
【配信サイト】 https://fujisawanorimasa.lnk.to/cpal

『Changing Point』特設サイト:https://www.fancube.jp/fujisawa/20221021/
Official HP:https://www.fujisawanorimasa.net/
Instagram:https://www.instagram.com/fujisawa_0308/
LINE BLOG:https://lineblog.me/fujisawa_norimasa/
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