ジュキヤ×中町JP×ノンラビ田口達也、ジュキぱっぱのメジャーデビューを語る 音楽でしか表現できないYouTuberらしさと意外性
YouTubeチャンネル「ジュキぱっぱ」のメンバーが、ジュキぱっぱ名義で11月16日にデジタルシングル「奇想天外ぽんぽこぽん!!」をリリース。<ポニーキャニオン>よりメジャーデビューを果たした。
YouTuber ジュキヤがサブチャンネルとして開設した同チャンネル。中町JP、こなん、わきを、MARIMO。、ゆうやにジュキヤを加えた6人組ユニットとして彼らがメジャーデビューするに至った経緯やミーティングの様子、レコーディング風景はYouTube映像「8ヶ月かけて曲を作ったので聴いてください。」でも確認することができる。
今回リアルサウンドでは、ジュキぱっぱのメンバーであるジュキヤと中町JP、本企画のトータルプロデュース・楽曲制作に携わったNon Stop Rabbit 田口達也の3人にインタビューを行った。「YouTuberのメジャーデビュー」の先輩でもあるノンラビ田口が、ジュキぱっぱの音楽活動で引き出したかったこととは? 公私ともに親しい3人だからこそ話せる本音にも注目を。なお、本インタビューの模様は後日リアルサウンドのYouTubeチャンネルでも公開する予定だ。(編集部)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】
3人の出会いとジュキぱっぱの成り立ち
――まずはジュキぱっぱというYouTuberユニットの成り立ちから教えていただけますか?
ジュキヤ:コロナ禍でこれまでみたいに外で動画が撮れなくなったので、僕がまず1人でゲーム実況を始めたんですよ。その後、家の中でも撮りたいなってことで、最初にこなんというYouTuberを誘い、2人でいろいろ撮るようになったんです。そこから他の友達も呼んでるうちに今のジュキぱっぱの形になっていって。自分にとってはもう家族みたいな感じっすね。
中町JP:ウソつけ!
田口達也(Non Stop Rabbit):ウソつくなよ!
――(笑)。中町JPさんはジュキぱっぱに参加することになったときはどんな気持ちでした?
中町JP:ジュキぱっぱとして撮影し始めたのが1年くらい前なんですけど、その時は僕自身、YouTuberを始めてまだ1年も経ってない時期で。僕の場合、妹(中町綾)がすごく有名なので、僕も個人で有名にならなきゃなってことで他のチャンネルに呼ばれたら絶対出ることにしていたんですよ。なのでジュキぱっぱも最初はその中のひとつという感覚でした。そしたらね、「こんなに呼んでくるんだ⁉」と思って(笑)。
田口:あははは。
中町JP:スケジュールの空いてる日を全部ジュキヤに取られるからオフがまったくなくなっちゃうっていう。最初の半年くらいはマジで週4くらいでジュキぱっぱの撮影があったんで、正直イヤでしたね。僕にとっては、家族では全然ないんで。
ジュキヤ:いや、ジュキぱっぱは家族だろ(笑)。
――ジュキぱっぱのチャンネル登録者数は現在148万人。ものすごい人気ですよね。
ジュキヤ:いや普通っすよ。特にドカンと人気が出ることもなく。そもそも自分ではあんまり数字を気にしていないから、別に何も思わないというか。登録者数が増えれば増えた分だけジャマくさいヤツも増えるじゃないですか。だから僕らのことを全肯定してくれるファンだけが観てくれていればいいかなっていう。数字よりは質ってことっすね。
中町JP:そんな感じでやってるジュキぱっぱに、自分たちのチャンネル(登録者数132万人の「中町兄妹」)が負けてるのが信じられないですけどね。そういう意味ではやっぱジュキヤはすげぇなって感じ。ジュキヤ強っ! っていう。
ジュキヤ:やっぱビジュのおかげじゃない?
田口:いやいや、ビジュで言ったらせいぜい2万くらいだろ。
中町JP:そもそもジュキヤのメインチャンネル(登録者数255万人の「ジュキヤ/Jukiya」)が超人気で知名度がとんでもないからね。そこから(ジュキ)ぱっぱのほうに流れてる人が多いんだろうね。ジュキヤのメインチャンネルを観てなくて、ぱっぱだけ観てますって人は少ないと思うんで。
ジュキヤ:どっちにしてもチャンネルの登録者数はあんま気にしないっすよ。それよりは動画の内容とかで違いを出そうとか、そういうことは気にしてますけどね。
――では、ジュキヤさんと田口さんはどんなきっかけで繋がったんですか?
田口:4、5年前にたまたま出会ったって感じです。
ジュキヤ:ラーメン屋でね。
田口:ラーメン屋じゃねえよ! 東京でやったイベントで一緒になったんですけど、そのときにジュキヤはまだ愛知に住んでたんで泊まるところがないと。で、初対面だった僕の家に来て、そこから半年くらい一緒に住んだんですよ。いきなり同棲。
ジュキヤ:そのイベントで会うまでバンドやってる人ってことも知らなかったですからね。ただ泊めてくれそうな人に声をかけたっていう。そしたらたまたまYouTubeもやってるバンドの人だった。
田口:まんまと引っかかったっていうね(笑)。けっこうイヤでした。
――JPさんはジュキヤさん経由で田口さんと知り合った感じですか?
中町JP:そうっすね。ジュキヤが動画の中でよく名前を出してたんですよ。「この前、ノンラビの達也がさ」みたいな。なので、「ああ、ジュキヤと仲のいいノンラビっていう人なんだな」っていうイメージっすね。それきっかけでノンラビの曲を聴いてみたりってことも特になかったです(笑)。
田口:(ジュキヤを見ながら)おまえもないだろ、ノンラビの曲聴いたこと。
ジュキヤ:ありますよ。いろいろね。デビューから順番に聴いたりしてますよ。
田口:ウソくせぇ。
1人でやるよりもみんなでいた方が絶対に楽しいから誘った
――そんな田口さんのプロデュースによって今回、ジュキぱっぱがメジャーデビューすることになりました。どんな流れから実現した話なんですか?
ジュキヤ:そこはもう、あうんの呼吸で決まったよね。
田口:いやいや、そんな運命的なものでは全然なくて。実は以前から年に2、3回くらいジュキヤが書いてきた歌詞に曲をつけたりはしてたんですよ。
ジュキヤ:TikTokでバズらせるために自分の音源を作ろうと思って。
田口:そうそう。で、ノンラビが<ポニーキャニオン>に入ったのもあったので、会社に聞いてみたんです。ジュキヤみたいなヤツがメジャーデビューしたらおもろいんじゃないかなって思いがあったから。その結果、本当に実現したって流れですね。JPたちは単純に巻き込まれただけですけど(笑)。
ジュキヤ:1人でやるよりもみんなでいた方が絶対に楽しいから誘いました。ただ、細かく説明しても多分わかんないと思うので、具体的には何も言わず。
中町JP:ほんとにそう。何も知らされないまま呼ばれた場所に行ったら、ぬるっと「メジャーデビューするから歌録るよ」って言われましたからね。動画1本撮影するくらいのテンション感で。だから喜びの感情を抱くというよりは、「こんな感じなんだな、メジャーデビューって」みたいな。
田口:いや違うよ。本当は違うよ。なかなかメジャーデビューなんてできないんだからね。
ジュキヤ:俺はメジャーが決まった瞬間、スキップしたけどね。「やったー!」って言いながらスキップでキッチン行ったり、ダイニング行ったり。キッチンとダイニングをずっと往復してた。純平(中町JP)さんは寝室かな?
中町JP:僕は……寝室行ったり、キッチン行ったり。で、また寝室行って。
田口:乗っかんのかい! ほんと適当だな(笑)。
――ジュキヤさんとJPさんは元々、音楽に興味はあったんですか?
ジュキヤ:音楽を聴くのは好きですよ。ただ、自分で作るとかってことにはまったく興味がないです。歌詞を書くのはちょっとおもしろいなとは思いますけど、基本は聴く専門っすね。SMAPが好きで、コンサートにも何回か行きました。テンポがよくて明るいアイドルソングが好きなんですよ。メッセージがどうこうではなく、リズム感とかサウンド重視の聴いてて楽しい曲が好きです。
中町JP:僕はヒップホップしか聴かないですね。なので、今回出す2曲の方向性は不本意ではあります。
田口:あはははは。
ジュキヤ:音楽の好みは全然違いますね。他のメンバーは全員レゲエ好きだし。
中町JP:そんな集団じゃねぇだろ! ドレッドとかいねぇだろ!
ジュキヤ:レゲエじゃなくてフィンランド民謡だったかな? ……基本的にメンバーみんなで音楽の話もしないですから。
中町JP:人気アーティストが新曲を出せば話すことはありますけどね。「再生数ヤバッ!」みたいな。でも、「これが推しでさ!」くらいの熱量で話すことはないかな。ただ、わきをくんはヒップホップグループを組んで曲を出してるし、MARIMO。もチームを組んで曲を出してるんで、あの2人は歌いたい側の人たちではあります。メジャーデビューに関しても基本テンション上がってるんで。
――メンバー間でメジャーデビューに対しての温度感は様々なんですね。
田口:僕としては、この感じがいいなって思うんですよ。メジャーデビューがすごいことなんだって思うのは音楽やってる人だけですからね。だから、ジュキぱっぱはノリでメジャーデビューする感じがおもしろいなって。音楽に関しては素人かもしれないけど、彼らはYouTuberとしてすごく才能があるんですよ。でもそれをあまり表には出すことはない。何かとおもしろおかしく表現しちゃうから。そのYouTuberっぽさを残しつつメジャーデビューさせることが今回、僕の一番やりたいことでした。マジメにやりすぎて彼らの良さを消さないようにしようと。プロデュースとしては珍しい形かもしれないけど、僕もやっててすごく楽しいですね。
中町JPの実体験を元に でも「実際の僕の日常はこんな生ぬるいものじゃない」
――ジュキぱっぱ名義でリリースされる「奇想天外ぽんぽこぽん!!」は具体的にどう形にしていったんですか?
田口:ジュキヤから歌詞が急に送られてきて、「これを曲にしてほしい」と。で、それを曲にしました(笑)。
ジュキヤ:曲づくりもあうんの呼吸で。自分の中から言いたいことが出てきちゃったので、それを歌詞にしたんですよ。
田口:違うでしょ。JPの実話が元になってるんでしょ。
ジュキヤ:そうでした。純平さんの身に起こった出来事を書きました。
中町JP:僕、基本的に嫌われてるんですよ。YouTuberの中でも珍しいぐらい炎上しまくっていて、その度に「消えろ!」「死ね!」みたいなDMがめちゃくちゃ来るんです。で、ある時に「2000件ぐらい“死ね!”って来てるんだけど」みたいな話をみんなにしたら、「じゃ、それを歌にしよう」ってことになって。その段階では普段通り、ジュキヤのチャンネルだけに上げる曲のつもりだったんですけど、結果的にそれがメジャーデビュー曲になったっていう。
――YouTuberとして顔を出して活動しているからこそ生じる苦悩がコミカルに描かれている感じですよね。
中町JP:実際の僕の日常はこんな生ぬるいものじゃないんで(笑)、もはや実話ではないですけどね。歌詞の取っ掛かりとして僕の経験があったけど、すごくかわいい仕上がりになってると思いますよ。実際はもっとひどい目にあってるんで。
ジュキヤ:ウソを書いたわけではないけど、世に出すことを考えてちょっとまろやかにした感じですよね。メジャーアーティストなんでね、そこらへんは考えますよ。
田口:めちゃくちゃやってるようでいて、そのへんの線引きはある人だからね。僕は普段、歌詞と曲を同時進行で作っているので、ジュキヤからもらった歌詞に曲をつけるのはすごくおもしろかったです。ある意味、縛りがある中で曲を作っていくのが新鮮で。しかも、ジュキヤの歌詞は言葉選びや音の繋がりみたいな部分でメロディがすごく浮かびやすかったりもして。勉強になったところもめっちゃありましたね。
ーー歌詞の書き方に関して何かこだわりってあるんですか?
ジュキヤ:難しい質問ですね。こだわりは……ないですね。
田口:ないの? ジュキヤは普段、YouTubeでトークをしてるわけだから、言葉の使い方ってめっちゃ意識してると思うんだけど。どうしゃべればおもしろくなるかをパズルみたいに考えてるなって俺には伝わってきてた。そこは感覚的なもので無意識なのかな?
ジュキヤ:言いやすい言葉だったり、音として気持ちいい言葉が好きなんですよ。だからサビで“ガッ”“スッ”“パンパンパン!”みたいな効果音をたくさん使った感じで。もちろん意味も考えはするけど、それよりは音のほうを重視してる感じっすね。
中町JP:2番に出てくる〈北アフリカ人〉ってワードなんかはまさにそうだよね。
田口:そうそう。うちで作業してるときに、言葉数にメロディがハマってないって話になって。みんなで考えたんだよね。
中町JP:8文字の単語をみんなで出し合って。で、一番ハマったのが〈北アフリカ人〉だったっていう。意味とかじゃなく、音として一番気持ち良かったから。
ジュキヤ:歌も別に上手いわけでもないんでね、いいこと言ってもしょうがないよなっていう。それよりは聴くだけで楽しくなってもらったほうがいいんで。
中町JP:そうだね。変にいい歌とか歌っちゃってもね。
――曲調もとにかくテンションが上がるアプローチになっていますよね。
田口:そうですね。これっぽいのがいいって曲をいくつか挙げてもらった上で、それを分析して俺なりの提案をさせてもらって。お互いのイメージをやり取りしながら要素を詰めていった感じでした。
ジュキヤ:曲の方向性に関してJ-POPバージョンとK-POPバージョンを出されて、「どっちがいい?」って聞かれたりもしましたね。で、K-POPバージョンを選んだんですけど。
田口:ジュキヤの中でやりたい楽曲のイメージがけっこう明確だったから作りやすさはありました。今回はギターはもちろん、ドラムなんかも自分でレコーディングしたんですよ。普段、自分のバンドではやらないことを率先してやってみようっていうテーマもあったので、僕としてもいい経験をさせてもらったなって思います。
――ボーカルのレコーディングはいかがでしたか?
中町JP:本格的なレコーディングは初めてでしたけど、普段から「歌ってみた」企画とかで歌うことはけっこう多いんで、特に新鮮な感じはなかったですね。別に歌うまで売ってるわけではないので、とにかく時間を巻くことだけを考えてレコーディングしてました。1発でOKもらうことを頑張ったっていう。
ジュキヤ:純平さんに叫んでもらってるところもあるんですけど、そこはけっこう何回かやってもらいましたけどね。案外、スロースターターというか、テンションが上がってくるまでに時間がかかるタイプなんですよ。ラウンジに行っても最初はあんましゃべんないけど、後半になると席立って場を回し始めるタイプ。
中町JP:ラウンジの話はしなくていいだろ!
――ジュキヤさんはどうでしたか?
ジュキヤ:え、ラウンジの話ですか?
中町JP:違うだろ! レコーディングの話だよ。
ジュキヤ:歌うのは楽しかったっすね。
中町JP:こいつ、歌うことがめっちゃくちゃ好きなんですよ。酒なしでカラオケも全然行ける人だし。シーシャ行ってもカラオケめっちゃ歌うし。
ジュキヤ:今回は自分の好きなリズム感を持った曲でもあったんで、歌うのはより楽しかったですよ。とは言え、テクニック的なことは何もできないタイプなんで、普通にカラオケのようにただ楽しく歌っただけですけど。
中町JP:達也くんがいろいろ教えてくれるしね。その通りに僕らは歌った感じです。
田口:2人の存在って、声だけで誰かわかるところまで来てると思うんですよ。それがすごい強みだと思うので、そこを生かすことだけを考えてましたね。2人っぽさが出れば全部OKにしたので、レコーディングはめっちゃ早かったです。もう1曲の「人生トントン説」も合わせて4時間くらいで終わったんで。
ジュキヤ:他のメンバーも同じ感じだったよね。
中町JP:うん。そもそも苦戦するような歌じゃないし(笑)。
田口:そうそう。僕もそんな難しいことは求めてないので。普段の動画のように、おもしろいことをやりつつ一発かまそう、みたいな感じでしたね。