KinKi Kidsメンバー分析 第1回:堂本光一、エンターテイナーとしての美学 ジャニーズエンタメを追求する揺るがぬ信念

 2022年7月21日に、デビュー25周年を迎えたKinKi Kids。東京ドームでの周年記念イベント『24451~君と僕の声~』の開催、YouTubeチャンネルの開設、25周年にかけて25円でのCMタイアップ、そして『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)をはじめとしたスペシャル番組への出演、デビュー前から続くラジオ『KinKi Kidsどんなもんヤ!』(文化放送)の生放送スペシャル……などなど、2022年は祝福ムードで大いに盛り上がった。年末年始には東京と大阪にてドーム公演も決定し、ファンの楽しみはさらに続く。そこで、改めてKinKi Kidsの魅力をおさらいしていきたい。まずは堂本光一から。

何かに導かれるように出会った2人の関係性

 同じ“堂本”という名字、同じ1979年生まれ、同じ関西出身。堂本剛と堂本光一の出会いは、運命的としかいえないものだった。偶然の一致にしては、できすぎている。それがKinKi Kidsという不思議なデュオの最初の魅力だ。バラエティ番組のトークシーンを振り返ると、2人が同時に同じフレーズでツッコミを入れたり、同じ動作で笑いを取ろうとする瞬間が多数ある。その驚異のシンクロ率は歌声にも当てはまり、彼らの楽曲を多く手掛けてきたシンガーソングライターの堂島孝平が「まるでひとりで歌っているように聞こえる瞬間がある」と証言したほどだ(※1)。

 一方で、お互いに連絡先も知らないというドライな関係を漂わせる2人。彼らの持つ運命的なものは何なのか。そんなふうに考え始めたら、もうKinKi Kidsの魅力にハマっている証拠。「みんなが思っているほど剛くんのことを知りません(笑)」とは、堂本光一が雑誌のインタビューで答えていた言葉(※2)。やはりドライな感じを受けるが、そのすぐあとに「ただ、この2人だったから、今がある。それがすべてです」と続くからたまらない。この一見クールでシビアに感じられる眼差しや言葉の中に、堂本光一の美学や愛情を見出すこともまた、ファンの喜びでもあるのだ。

ジャニーズの「記録」と「記憶」を塗り替えてきた日々

 KinKi Kidsの歩みを振り返ると、「日本のチャートにおいてシングル1位獲得最多連続年数」「デビュー時から最も多く連続でNo.1を獲得しているシングル数」とギネス記録の認定を受け、堂本光一ソロでいえば舞台『SHOCK』シリーズで国内ミュージカル単独主演記録を更新し続けるなど、レジェンド続きだ。彼が『SHOCK』シリーズの座長になったのは、21歳の時のこと。帝国劇場史上最年少での座長だった。よくジャニー喜多川とぶつかり、「褒められたことがない」とも明かしている。舞台のクライマックスの演出に「YOU最悪だよ」と言われ続け、それでも「絶対にいいシーンになるから」と食い下がり、最後は「勝手にすれば」と突き放されたこともあったそう。考えてみれば、ものすごい度胸である。事務所の社長であり、ジャニーズという文化を築いたジャニー喜多川に、20代の青年が自分の意思を貫くというのは。

 しかし、そうして自分を出していく姿勢にも、「YOU出ちゃいなよ」でおなじみのジャニーズイズムがあると本人は振り返っている。届けようとするエネルギーは最大限に、でも迷いや不安は最小限に。悩んでも意味のないことは削ぎ落とす。堂本光一の信念は実にシンプルだ。かねてより、F1好きで知られる堂本光一。その理由のひとつに、いらないものを削ぎ落として作られたF1カーの美しさにあるそうだ。「美しさって、作られたものじゃないと僕は思うんですね」(※3)と語る彼は、年齢を重ねるごとにアイドルに求められる華美なイメージを削ぎ落としていった。コンサートではファンサービスよりもパフォーマンスに集中するスタイルを取り、ラジオなどでは早々に素の姿を披露してきた。ファッション好きな堂本剛に対して、「ただの布だぜ?」と言ってしまう堂本光一のバランスも、飾らないからこそ見えてきたもの。かっこつけないかっこよさ。自分を必要以上に大きく見せない潔さ。不器用ながらにやるべきことを続けていく勤勉さ。その結果としての美しさ。彼の信念は、ジャニーズアイドルの魅せ方の一つとして確立されていったのだ。

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