ヤングスキニー、初の東名阪ワンマンツアーで見せたバンドの底力 矛盾だらけの日常にもたらした幸せ
後半戦は、サポートキーボードを迎えたスペシャル編成で進行。現在バイラルヒット中の話題曲「本当はね、」では特別に撮影許可が出され、オーディエンスがこの日限りのスペシャルな演奏を噛み締めながらライブをスマートフォンに収める姿も見られた。「コインランドリー」ではアカペラ、ピアノサウンド、バンドサウンドの順で展開され、音源とは一味違ったメロディを響かせる。さらに「また冬が終わって」では、美しいピアノサウンドが壮大なバンドサウンドとかけ合わさることで、楽曲をさらにドラマチックに彩った。
「バンドを始めるのは色々反対されたけど、自分のやりたいことだから続けています。みんなも自分のやりたいことを誰かに馬鹿にされることもあるかもしれないけど、絶対に諦めないで。ずっと続けていれば、誰かが見てくれているから。誰になんと言おうと、あなたはあなたらしく進んでいいんじゃないかなと思います」と、そっと背中を押す言葉を投げかけて披露したのは、新曲「らしく」。繰り返される〈僕は僕だ〉という言葉が聴き手を肯定し、ポジティブな気持ちにさせてくれる。勢いのあるスネアロールや力強いバスドラの音からも元気をもらえた。ラストを飾ったのは「ロードスタームービー」。「全部出し切ります」という宣言通り、メンバーがステージを移動したり見渡したりしながら最大限のパフォーマンスを見せ、本編を終えた。
アンコールでは元恋人への未練を断つ様子を描いたバラード調の新曲「好きじゃないよ」と、彼らの代表曲とも言える「世界が僕を嫌いになっても」を届けた。新曲披露やスペシャル編成での演奏を交えた特別な夜は、こうして全オーディエンスを幸せにして幕を閉じた。
ヤングスキニーの楽曲は、幸せではない様子を描いたものも多い。恋愛がうまくいかない苦しさ、社会で生きることへのやるせなさ、どのように生きればいいのかわからない辛さ。多かれ少なかれ、きっと誰もが感じたことのある内容だと思う。彼らはこれらを曲にするからこそ、リスナーは自分だけの辛さではないと感じられる。それがバンドへの圧倒的な共感と支持に繋がったのではないだろうか。きっとこのバンドは、これからもリスナーの等身大となる楽曲を届けていくのだろうと思った一夜だった。
本ライブの後、10月30日に大阪で行われたツアーファイナルにて、ヤングスキニーがメジャーデビューを発表した。彼らがメジャーの舞台に立ち、さらなる活躍をすることが期待される。