MAISONdes、アニメ『うる星やつら』の世界観と隅々までマッチしたOP&ED楽曲 時代を音でつなぐ役割に
2021年5月、YouTubeに公開された「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」の音源がTikTokで使用されたことで驚異的なバズを巻き起こし、2021年8月にはまだ無名だったasmiがYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』に出演したことで注目を浴びたのは記憶に新しい。この和ぬかとasmiのコラボレーションを生んだ根源は、2021年に誕生した架空の六畳半アパートと称する音楽プロジェクト・MAISONdes。気鋭のクリエイターやアーティストがMAISONdesに入居し、同時代を生きる誰かの心の穴を埋めてくれる音楽を生み出す。「ヨワネハキ feat. 和ぬか, asmi」のヒット以来、MAISONdesは、Z世代の心に寄り添う音楽を生み出すアパートとして評価を獲得するようになっていった。今年の秋からは「SUUMO」とのコラボレーションや、「トヨタ自動車 新型カローラシリーズ」のCMソングを担当するなど、タイアップが続いている。
そしてMAISONdesが、2022年10月からフジテレビ“ノイタミナ”にて放送中のテレビアニメ『うる星やつら』のオープニング/エンディングの両楽曲を担当していることが話題になっている。同作は、1981年にテレビアニメ化、約4年半にわたって放送されていた、高橋留美子原作の不朽のSFラブコメ作品。趣味がガールハントでだらしない男子高校生・諸星あたると、あたるに惚れ込むことになる宇宙から舞い降りた鬼っ娘・ラムを中心としたキュートで痛快なストーリーだ。現在放送中のアニメでは、ブラウン管テレビや黒電話など昭和を代表するアイテムは描かれたまま、キャストからアニメーションまでのすべてがアップデートされており、令和世代にも愛されるアニメになるようこだわりが見える。そして『うる星やつら』が昭和から令和へと時空を超えるため、テーマソングとして選ばれたのが、今のZ世代の心にはまる音楽を知り尽くしたMAISONdesだ。
今回MAISONdesの373号室で制作されたオープニングテーマの「アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti」、239号室で制作されたエンディングテーマの「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ feat. 花譜, ツミキ」はともに、ボーカロイドシーンで活躍するクリエイターが作詞作曲を手がけたアップテンポな曲調。今のZ世代の心のど真ん中にヒットする要素が詰め込まれている。
特筆したいのは、この2曲が『うる星やつら』の世界観に隅々までマッチしていること。美波は、2019年に放送されたテレビアニメ『ドメスティックな彼女』(TBS系)のオープニング主題歌になった自身作詞作曲の「カワキヲアメク」を代表曲に持ち、可愛らしい声質でありながらも、心の声を剥き出して歌にするのを持ち味とするシンガー。「アイウエ」では嫉妬心が暴走するラムらしさを、余すことなく表現している。一方、KAMITSUBAKI STUDIO所属のバーチャルシンガー・花譜も、飾らない歌声に宿る神秘的な美しさが評価されている。センチメンタルな歌声に共通点のあるふたりの特徴的な息遣いやバイタリティのある歌いまわしが、自由奔放なラムを的確に捉えている。