マキシマム ザ ホルモン、“一部サブスク解禁”でバイラル好調 抒情性&シャウトの殴打でメリハリを存分に発揮
今回のチャートアクションは『チェンソーマン』とサブスク解禁が大きく関係していると思うが、「KAMIGAMI-神噛-」がランクインしてきたのは、本曲が音源未発表楽曲だったからだろう。11月初旬現在、Spotifyでは273万回再生を突破しており、前述したマキシマム ザ ホルモンの存在感の証だとも言える。
「KAMIGAMI-神噛-」は、不穏な予兆を感じる繊細でダークなギターのイントロで幕を開けた後、ライブでのコールアンドレスポンスを想起させるような重低音爆発のシャウト、〈…神々噛み〉という一瞬のフック(しかもスタイルだけ見ると一種のアカペラ)から、まくしたてるようなシャウトを連発する。このシャウト連発のパートにはファンキーな趣きもあり、デビュー当時のRed Hot Chili Peppersに通ずるグルーヴを感じる。煽情的なコーラス(というか掛け声)もラウドの王道。ナヲ担当の歌パートはアップダウンのある抒情的なメロディで、譜割りはシンプルだが一音だけストンと低音に落ちてくるなど、練られた展開であることも窺える。中低音の部分では、少しディレイ気味に感じるように一音に絶妙なクレッシェンドを入れたり、歌パートの最後のフレーズ〈レリジョン天罰タイム/good luck!〉では高音を抜くように歌い、クリアな声質と相まって清々しささえ感じさせる。このナヲのパートで油断していると、ゲリラ豪雨のように一気に音圧シャワーを浴びせられる……という具合に、彼らお得意のメリハリ抜群の1曲だ。歌詞には超えられないヒエラルキーに対して抗うエネルギー、そして人間を俯瞰で観た哲学性を感じる。
今の日本の音楽シーンにおいて、マキシマム ザ ホルモン」という無二の存在の強さを改めて痛感した今回のバイラルチャートだった。
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