Tani Yuuki、壮大なテーマを歌う「もう一度」TikTokチャート好調 祈りのような繊細さで深めた“新しい表現力”

 〈ねぇ、いつになれば君に会えるの?/ねぇ、いつになれば世界は戻るの?〉と印象的なフレーズから始まるこの楽曲。歌い出しから直感的にコロナ禍の苦悩を暗示していることに気づかされる。特にサビ部分で繰り返される〈手を取り合いもう一度〉〈手を取り愛をもう一度〉という言葉遊びも交えた秀逸な一節は、コロナ禍の暗闇に差す一筋の希望の光と受け取れるが、同時に切実さもにじみ出る。ラブソングの形をとっているものの、その愛は人類規模に大きく、〈次の世代の誰か/僕らの子供達が迷わず歩いて行けるように〉のようなラインから読み取れるように、それは博愛とさえ言えそうだ。

 そして、このような壮大なテーマを支えるのは、繊細だが力強いストリングスの美しいしらべと、Tani Yuukiの情感豊かな歌声の見事な調和である。これまで目の前の「あなた」へ語りかけるような親密な歌声が特徴的だったTani Yuukiだが、「もう一度」では、よりリーチする範囲を広くとった祈りのような歌声に仕上がっており、その壮大さと振れ幅の大きさに彼の豊かな表現力が表れている。TikTokで楽曲の一部が先行配信されてから口コミが波及し、YouTubeにアップされた公式のMVは公開数日で100万回再生に迫る勢い。「Myra」のヒットから約2年が経ち、表現の幅を大きく押し広げたTani Yuukiの新たな魅力を「もう一度」で感じ取ってほしい。

もう一度 - Tani Yuuki【MV】

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる