BE:FIRST、1stアルバムが堂々のチャート首位 SKY-HIとメンバー7人が提示する新たなボーイズグループのあり方
SKY-HIを筆頭に、複数のプロデューサーに支えられ、メンバー自身もアルバムの作詞作曲に携わっていますが、そのクオリティが本当に高いこと。骨格だけで成立するような音数の少ない、それなのにエレガントなトラック。声質の違いを生かしたマイクリレー、美しく決まるフロウ、また艶っぽいソウルフルな歌唱。どれも本当に絶品。たとえばSIRUPが好きな人、SALUが好きな人、ジャスティン・ビーバーが好きな人たちが「BE:FIRST、いいねぇ」と盛り上がる光景も自然にイメージできます。もちろんK-POPが好きな人にはドンズバの音像でしょう。
「Moment」や「Be Free」など、爽やかなポップスもありますが、大丈夫、ありのままで、といった安易な現状肯定がないのもいいですね。彼らの歌には圧倒的な不安と物足りなさに、今のままでいいわけがない、という上昇志向(もしくは変化への希求)がある。それは今の若者たちの気分であるだろうし、ボーイズグループのあり方に対する疑問のようにも聴こえてきます。
ダークな激しさを持つ「Scream」には〈得体が知れないだろ?/飲み込んでやるよ お前のその期待も不安も〉〈待つ気はない 君もそうだろう?/誰かに Judgeさせるなよ〉との歌詞がありますが、サウンドの説得力も含めて、これは旧来の事務所/芸能界に突きつけた決別状のごとし。具体的に言えば「複数名の美少女/美青年がキラキラした笑顔で歌って踊っている」形式を、長年ビジネスにしてきたエンタメ業界への挑戦状とも考えられます。古い高速道路を颯爽と走り出したピッカピカの電気自動車。めちゃくちゃカッコいい。乗りたいわ、この波は。