INI、3作連続でシングルチャート首位 トレンドを押さえたサウンドと巧みなボーカルが堪能できる一枚に
ここでは通常盤のカップリングを聴いていきましょう。「STRIDE」は、フューチャーハウスを踏襲したサウンドによって、INIのボーカルの透明感を浮きあがらせていきます。そうした点で、「Password」とのコントラストが鮮やか。メンバーの声質を踏まえてのパート割りの巧みさにもうなりました。
「Shooting Star」は、「Password」と同じくヒップホップ路線で、サウンドはエレクトロにしてアブストラクトなパートすらあります。この楽曲でもメンバーの声の配し方が冴えていますが、11人もいるグループであることを考えると、かなり高度なディレクションです。
最後を飾る「Mirror」は、ピアノで幕を開けるミディアムナンバー。歌とラップが交錯しますが、ラップにおける譜割りがユニークで、特に1番の〈戻れるかな〉の箇所には強く耳を引かれました。
ヒップホップのトレンドを押さえて、高密度の興奮をもたらしながら、一方では強く透明感を押しだす洗練さもあるのがINIの『M』。ボーカルディレクションもサウンドプロダクションも、高いレベルを誇っています。