ExWHYZ(イクスワイズ)、“元EMPiRE”として踏み出した新たな一歩 終焉と幕開けがともにあった全国ツアーファイナル公演

ExWHYZ、“元EMPiRE”ラストツアー最終公演

 2022年6月2日にEMPiREが解散し、そのメンバーであったyu-ki、mayu、midoriko、maho、mikina、nowの6人で新たに結成されたExWHYZ(イクスワイズ)。彼女たちは2022年7月21日から全国ツアー『元EMPiREなりのラストツアー』を開催し、そのツアーファイナル公演が2022年8月18日にZepp Hanedaで開催された。

 ツアータイトルは、所属事務所・WACKの代表である渡辺淳之介が最初に手掛けたアイドルである第1期BiSの解散ライブ『BiSなりの武道館』(2014年7月8日)に由来。さらには、その翌日にあっさり「元BiS」としてライブを行ったことにも由来する。シーンに大きな衝撃を与えたEMPiREの解散後、同じメンバーで結成されたExWHYZは、一躍もっとも「WACKっぽい」話題性のあるグループとなった。

 『元EMPiREなりのラストツアー』のツアーファイナル公演は、元EMPiREとして開催されたのだが、アンコールではExWHYZの新曲MVを公開するというサプライズをもたらすライブだった。終焉と幕開けがともにあった。

 ツアーファイナル公演の前日である8月17日にも、同じZepp Hanedaでライブが開催されたが、midorikoが急な体調不良で欠席となった。その一方で、会場内ではAirDropでExWHYZとしての新曲が配布されたらしく、公式Twitterアカウントが「全然受け取ってもらえなかったの悲しい」とツイートする事態に(※1)。そして、ツアーファイナル公演はmidorikoが大事をとって欠席し、yu-ki、mayu、maho、mikina、nowの5人で開催された。

 ステージにはEMPiREのロゴが掲げられ、“元EMPiRE”が登場。冒頭の「A journey」から、エージェント(EMPiREファンの総称)がメンバーと一緒に振り付けを踊り、一体感を生み出していく。続く「SUPER FEELiNG GOOD」は大胆にフューチャーベースに傾倒した楽曲で、WACKのなかでもEMPiREがもっともダンスミュージックを意識していたことを如実に物語る。ステージ両脇のお立ち台もメンバーは活用し、会場全体の熱も上がっていく。

 「SUCCESS STORY」に続くMCでの自己紹介では、「mayu元EMPiREです」など、「元」を名前に挿入した形で行われた。

 EMPiREの歴史を辿るかのように、2017年10月にフリーダウンロードという形で公開された「EMPiRE is COMiNG」も披露。幕開けの一曲にして、ロックとダンスミュージックというEMPiREの音楽的な骨子が、あの時点で固まっていたことがよくわかる。

 さらに「SO i YA」「Buttocks beat! beat!」と2018年の楽曲が続き、フロアの熱を高めていく。後者で繰り返される〈お尻ペンペン〉というフレーズは、今もなおキャッチーだ。「HON-NO」はテクノ色の濃さが異彩を放つ。そこからミディアムナンバーにエレクトロの要素を溶け込ませた「Black to the dreamlight」への流れも美しかった。

 2017年12月に公開された「アカルイミライ」は、イントロからテクノへ接近しつつ壮大なロックサウンドへと流れ込んでいく楽曲だ。元EMPiREとエージェントのクラップも鮮やかに鳴り響いた。

 EMPiREポーズをめぐる、ゆるくも茶目っ気のあるMCを挟んで、ホーンを取り入れた「This is EMPiRE SOUNDS」へ。ハードコアな「RiGHT NOW」のイントロは、さながらアブストラクトテクノ。「IZA!!」にはプログラミングのビートが貫かれており、EMPiREのサウンドの振り幅の広さを改めて感じられる。

 かき鳴らされるギターが心地いい「S.O.S」では、エージェントの激しいジャンプも起きた。「ピアス」「ORDiNARY」では、ロックサウンドが鳴り響くなかで、元EMPiREの歌声が聴く者を魅了していく。

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