関口和之、1933ウクレレオールスターズならではの心地よい音色 高木ブーら豪華メンバーが賑わせた初のホールワンマンライブ
サザンオールスターズの関口和之を中心に結成された“1933ウクレレオールスターズ”初のホールワンマンライブ『盆ボヤージュ! YOKOHAMA』が、8月16日に神奈川・新都市ホール(そごう横浜店9階)で開催された。聴く人を癒やす温かみのあるウクレレの音色と、ゆったりとしたリズムのアコースティックサウンド。ウクレレ界のレジェンド・高木ブーやフラダンサーも登場し、港町横浜にハワイの心地良い風を吹かせた。
1933ウクレレオールスターズは、サザンオールスターズのベーシストでハワイとウクレレを愛する関口和之の呼びかけで結成。メンバーにはハワイアンミュージックに造詣が深く、ウクレレ奏者としても名高い1933年生まれの高木ブーをはじめ、よっちゃんこと野村義男、「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」がリバイバルヒットした荻野目洋子、口笛奏者の分山貴美子、パーカッショニストのはたけやま裕、ベーシストでケツメイシなどのプロデューサーとしても知られるYANAGIMANという、ウクレレをこよなく愛する面々。コロナ禍を通じて、人々の心に寄り添える楽器として注目されるウクレレ。その音色で“少しでも心が軽くなれば”という趣旨のもと今年本格始動した。
波の音が響き渡る会場。ステージの後ろには、横浜の街を描いた可愛らしいイラストの舞台セット。まずは関口、野村、分山、はたけやま、YANAGIMANがステージに登場。関口和之の10年ぶりのソロアルバム『FREE-UKES』に収録の「宝船来航」が奏でられると、屋内であるはずの会場に心地良い潮風が吹き抜けた。続いてラジオ番組『オールナイトニッポン』のテーマ曲として有名な「BITTERSWEET SAMBA」が始まると、軽快なリズムに合わせて会場にはクラップが響き渡る。「恋する第三京浜」ではウクレレの温かみのある音色でメロディを奏でる野村。小さいウクレレをのぞき込むようにして演奏する姿が、どこかユーモラスで可愛らしい。分山による、“誰でもゴン太くんになれる”という歌唱技でも、会場を大いに盛り上げた。
MCは、関口が「車で第三京浜を走って会場まで来たんだけど、CDプレーヤーが壊れていて、頭の中でこの曲を流しながら来ました」と話すなど、ちょっとしたユーモアを交えた柔らかなトークで、まるで時間がゆっくりになったような感覚に。会場の階下(そごう横浜店8階)で開催中の、関口和之が企画・プロデュースしたハワイの風吹くウクレレ展「ウクレレの島」(8月25日まで)に、野村が作ったミニチュアや高木ブー所有の珍しいウクレレなども展示されていることも紹介された。
野村のオリジナル楽曲「優しい奇跡」を演奏し終えると、「もう1人、お友だちを呼んでもいいですか? 1933ウクレレオールスターズの歌姫!」と、荻野目洋子を呼び込む。鮮やかなイエローのアロハシャツとグリーンのパンツスタイルで登場した荻野目に、「今日の衣装、バッタ色だね」と関口。荻野目は近年、虫好きで知られ、9月から『荻野目洋子の虫はともだち』(Jテレ)という番組もスタートする。この日が初お披露目だという彼女のウクレレもよく観ると蝶々と蜘蛛が描かれていた。
荻野目を迎えて演奏したのは、『FREE-UKES』に収録の「空の下、星の上」、『NHK みんなのうた』にも起用された荻野目の「虫のつぶやき」など。荻野目の温かい歌声がウクレレの音色ともマッチし、まるで日だまりにいるような心地よさに観客は体を揺らして演奏を楽しんだ。また、スタジオジブリの名作映画『耳をすませば』にも使用されて有名な「カントリー・ロード」は、メンバーによる絶妙なコーラスで披露したほか、The Venturesのカバー「Walk Don't Run」を野村が超絶技巧のウクレレ演奏で会場を沸かせた。