ZIPANG OPERAが鳴らす航海のアンセム 4人の個性が重なった“新たなジャパニーズポップス”の目指す先は?

ZIPANG OPERA、4人が目指す先

 ZIPANG OPERAが新曲「STEER THE SHIP」を8月22日にデジタルリリースした。昨年6月に結成第1弾公演『ZIPANG OPERA ACT ZERO ~暁の海~』を東京国際フォーラム ホールCで行い、同年11月に1stアルバム『ZERO』をリリース。規格外のスタートダッシュを見せた彼らが、4つ打ちの踊れるビートで約9カ月ぶりとなる新たな航海へ漕ぎ出した。さらに東京ドームで行われた、若手俳優出演の野球エンタテインメントショー『ACTORS☆LEAGUE in Baseball 2022』のオープニングアクトにも出演し、ますます独自のキャリアを描く彼らのコンパス。その針はどこを指しているのだろうか。ZIPANG OPERAの佐藤流司、福澤 侑、心之介、spiの4人に問いかけた。(小池直也)

歌詞のテーマは「ZIPANG OPERAの船出」

ーー早いものでアルバム『ZERO』発売から9カ月が経ちました。みなさんにとって、この9カ月はいかがでしたか。

福澤 侑(以下、福澤):全員がそれぞれの仕事に全力でしたね。

佐藤流司(以下、佐藤):俺も舞台やドラマ、映画に出演して、自分のバンド・The Brow Beatでツアーも行って。自分のほぼ全ての活動が充実していました。

spi:僕は世の中の流れを読む時間になりましたね。素晴らしいクリエイターのみなさんと演者である僕らの擦り合わせ期間みたいな。大人の事情もありつつ、僕らの意見も聞いてくれた<LDH Records>に感謝です。有意義な期間でした。あとは自分のエンタテインメントの足りない部分を補うために、ボイストレーニングやダンスレッスンに行ったり。

心之介:僕は『ZERO』を振り返って聴いて、改めて「ZIPANG OPERAっていいグループだな」と感じました。急ピッチで作ったとは思えない作品ですよね。

佐藤:ライブも6回しかやっていなくて「このグループ、本当に活動してるのか?」と自分でも思うくらいでしたけど(笑)。

福澤:でも顔を合わせれば必ず「早く動きたいね」と話していて。スタッフの皆さんも含めてチームのパワーがしっかりありますし、個性がバチバチに強い3人と一緒に活動できることが楽しいです。

佐藤:本当に3人とも尊敬できる。間近でカッコいい男の子を見られるのはすごくいいですね。俳優をやっていると他人と比べて「俺の方がいい芝居している」という変なプライドが出てしまうのですが、それを抜きに純粋にカッコいいと思える3人です。

ZIPANG OPERA
佐藤流司

ーーデジタルシングル「STEER THE SHIP」は9カ月ぶりの待望のリリースになります。制作がスタートした時はいかがでした?

福澤:リリースが決まって素直に嬉しかったですね。去年から話はありましたが、今年に入ってから明確に動き出しました。やっとみんなの予定が合ったんだなと(笑)。

佐藤:ようやく「1」になるものを出せるぞと思いました。曲は耳馴染みがよくてキャッチー。自分が曲を作る時には絶対出てこないスタイルの楽曲だなといつも思います。

福澤:いかつさもありつつ、個々の色もしっかり出せる曲になりましたね。

spi:僕は力強くてノリがいいなと思いました。街を闊歩する時と同じテンポ。ガッガッと進んでいくトラックの感じを大事にしながら、心(之介)の書く歌詞も信頼して、後はやるだけという感じでした。

佐藤:英語と日本語をうまく織り交ぜた、口触りがいい歌詞で心之介っぽいですよね。「次にこういう母音が来ると気持ちいい」と熟知しているので、歌っていて気持ち悪いところがないんです。

ーー心之介さん、メンバーをイメージしたという作詞を振り返っていかがですか。

心之介:ファンの方々を「ANCHOR」と呼ぶこともあり、船にまつわる曲を作ってみたいと思ってました。なので曲の疾走感とテンポ感を聴いた瞬間に「ZIPANG OPERAの船出」をテーマに歌詞を書こうと閃いて。デモ音源をいただいた時は、ちょうど福岡から東京に戻る飛行機に乗る前だったんですよ。そのまま機内で2時間ずっと作詞して、衝動的にほぼ書き上げてしまいました。

 特に〈乗り込め ばら撒く席のチケット/クレイジーが俺らのエチケット〉という部分は、公共交通機関での「エチケット」と「チケット」の韻が気に入っています。飛行機の中だからこそ浮かんだワードですね。

ZIPANG OPERA
心之介

佐藤:せっかく心之介がLINEで「皆さんの色を歌詞に取り入れたいので座右の銘、好きな言葉や四字熟語など教えてください」と質問しているのに、全員ふざけた返答だったのが面白かった(笑)。そこから、よくカッコいい歌詞が出てきたなと。

心之介:全然参考にしてないです(笑)。ソロの場合は自分のリアリティを歌にしますが、グループの場合は他の3人のことも思って書くので、するする言葉が出てきますね。

ーーそれぞれのメンバーをインスピレーション源にした具体的な歌詞も教えてください。

心之介:例えば〈舵を切れ友よ 明日を探しに〉から始まるサビは流司くんのイメージでした。この楽曲の主人公は彼ですが、歌詞的に考えると自分で舵を切ってないですね(笑)。

佐藤:でも合ってます。みんなと足並み揃えたいので、舵は切りたくないタイプなんですよ。舞台で座長をやらせてもらう時も基本的に横一列なので、引っ張ろうとしたことはないですし。

心之介:次にラップの部分は侑くん。侑くんはダンスがすごいから、それがフロウに出るんですよ。音に当てていく精度が高いというか。それをイメージして書きました。

福澤:このユニットは歌が上手いメンバーが揃っているので、そこで自分も一緒に戦うならラップとか、みんながやらないことを武器にするのが僕の存在意義です。あとはラップしながら体で歌っていることを表現して伝えることもできますね。

心之介:spiくんに関しては〈不敵な想像に駆られて 空想は現実に〉というフレーズ。歌詞全体は挑発的ですが、この部分は静まった夜の水面が広がる中、ひとりで歌っている感じ。この豊かな声の厚みはspiくんしか出せないと思います。

spi:声で勝負することは常に意識しています。だから今回のビジュアルでは顔を隠させてもらっているんですよ。

ーーちなみに心之介さん自身を表現したリリックは?

心之介:1コーラス目の途中に出てくる〈貪欲に前に/Yeah 捨て身なルートでいい〉以降のAメロ部分ですかね。先のことを考えずに今やりたいことを感覚的にやる、ということを自分にもファンの方々にも届けたいです。社会の同調圧力が嫌なので、この気持ちを音楽に投影できたらと。

ZIPANG OPERA

ーーレコーディングはどうでしたか。

佐藤:めちゃくちゃスムーズでした。

心之介:顔を合わせることなくバラバラに録りましたね。みなさんプロフェッショナルなので、ちゃんと表現してくれて100点満点でした。

佐藤:ZIPANG OPERAに関してはディレクターも優秀な方ばかりで、レコーディングは1時間くらいで終わるんですよ。4人で歌詞も振り分けているので、楽しく気持ちよく歌って、喉が疲れる前に帰れます。

spi:それぞれが自分のパートを理解しているので、あとは感情とノリと言葉の出たとこ勝負でした。あと、やっぱりレコーディングは嘘がバレてしまうなと思います。「こいつ何も考えないで歌ってるな」とか。なので、わかる人が聴いた時に重みが伝わるようにこだわってます。

福澤:ラップに関しては録りながら、声質やフロウの感じを詰めていきました。自由度は高いと思います。そしてZIPANG OPERAの曲はキーが高いんですよね。改めて歌えるメンバーが集まっているんだなと。

spi:僕も歌のフロウなどをトラックと混ぜた方がいいのか、分離させた方がいいのかと精査しますね。個人的にはドラムスがノリ、ベースが世界観、上モノが感情みたいな。そこに絵があって、限定した表現として言葉が入ってくる感じです。

佐藤:俺はロックで育ってきたので、もともとはこの曲のテイストに合わない声だと思うんです。だからたぶん、ZIPANG OPERAは俺がいない方が聴きやすい(笑)。ただ4人の声が合わさることで自分がスパイスやフックになって、いい違和感になる気がするんです。俺がいることで、また新しいものが生み出せるのかもしれません。

ZIPANG OPERA - New Visual Making (2022)

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