佐藤流司=RyujiによるThe Brow Beat、赤澤遼太郎らによるTFG……2.5次元出身俳優による音楽活動

 1974年に上演された宝塚歌劇団による『ベルサイユのばら』が起源だといわれている、漫画やアニメ、ゲームといった作品を3次元化し、台詞・歌・ダンスで世界観を表現する2.5次元舞台(ミュージカル)。『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた『聖闘士星矢』(SMAP全員が出演)や、アニメ版の声優陣による『HUNTER×HUNTER』などの流れを受けて2003年にスタートした『ミュージカル・テニスの王子様』(通称、テニミュ)が徐々に人気を獲得していった。

 その後、同ミュージカルの制作に携わったマーベラスエンターテイメントとネルケプランニングは、『弱虫ペダル』(秋田書店『週刊少年チャンピオン連載)、ゲーム『薄桜鬼』(アイディアファクトリー/デザインファクトリー)や『あんさんぶるスターズ!』(Happy Elements K.K)、『ダイヤのA』(講談社『週刊少年マガジン』)などを、次々にミュージカル・舞台化。2014年には、ネルケプランニング代表取締役の松田誠が代表を務める「日本2.5次元ミュージカル協会」が発足。2018年には、DMMゲームズとニトロプラスが制作したゲーム『刀剣乱舞』のミュージカル(通称、刀ミュ)キャストが、『第69回NHK紅白歌合戦』に出演したことで話題となり、今や2.5次元舞台は単なるメディアミックス作品ではなく、1つのコンテンツとして世間に浸透しつつある。

 また、これら2.5次元舞台は若手俳優たちの登竜門となっており、映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』に出演の鈴木拡樹や、現在放送中のドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)に出演中の黒羽麻璃央など、今をときめく彼らも実は2.5次元ミュージカル出身の俳優たち。2.5次元俳優と呼ばれる彼らの中には、役者をやっているかたわら、グループやバンドのメンバーとして、時にはソロ歌手として音楽活動を行っているパターンも増えてきている。その1人が、昨年実施された『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)によるアンケート「《好きな2.5次元俳優》6200人が選んだTOP10」で、栄えある1位に輝いた佐藤流司だ。

The Brow Beat『Adam』

 彼は、2011年に『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日系)で俳優デビュー。その後、ミュージカル『忍たま乱太郎』や“テニミュ”2ndシーズン、“刀ミュ”に出演し、2.5次元ミュージカルが好きな女性たちの心を掴んだ。最近では、今年4月から上演される『笑ゥせぇるすまんTHE STAGE』に、喪黒福造役で出演することが話題に。今後の活躍が最も期待されている2.5次元俳優である。そんな佐藤は、2018年にアーティスト・Ryujiとして、バンドプロジェクト・The Brow Beatを結成。佐藤自身が学生時代にヴィジュアル系バンドを組んでいたこともあり、The Brow Beatは、ヴィジュアル系ロックバンド・PENICILLINのボーカル・HAKUEIがトータルプロデュースを担っている。1stアルバム『ラグナロク』、2stアルバム『Hameln』はどちらもオリコン週間インディーズアルバムランキング1位、日比谷野外大音楽堂で2018年とその翌年に行われたワンマンライブのチケットも完売となるなど、俳優・佐藤流司のファンだけではなく、音楽性そのものに惹かれてThe Brow Beatのファンになる人たちも多い。2.5次元舞台に出演している佐藤は、どちらかといえば幼く可愛らしい雰囲気を持っていたが、Ryujiとしてボーカルを務めている彼は、色気のある高音と迫力のある低音を使い分けた歌声でバンドを引っ張っている。

The Brow Beat「L.R」【OFFICIAL MUSIC VIDEO [Full ver.] 】

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる