ゆず、“どんな困難も越えていける”という確信と自信 4年ぶり全国アリーナツアー追加公演で届けた極上のエンターテインメント

ゆずアリーナツアー追加公演SSAレポ

 そして岩沢のハーモニカの音色からはじまった「センチメンタル」(1999年シングル)では北川が「心のなかで一緒に!」と呼びかけ、心の距離を縮めていく。2020年以降も、状況に合わせながら配信&有観客ライブを続けてきたゆず。相変わらず“マスク着用・声出し禁止”のルールはあるが、4年ぶりのアリーナツアーを通して彼らは、そんな規制がまったく気にならない極上のエンターテインメントを体現してみせた。

 ここで北川が「子供たち、どれくらいいる? 10代は?」とオーディエンスに質問。10代から80代まで幅広い観客が集まっていることが実感できた。デビューから25年という月日のなかで、年齢や性別を超えたリスナーに支持されてきた彼ら。3世代の親子連れも多い客席は、まさにポップミュージシャンの理想と呼ぶべき光景だった。

 「T.W.L [Y.Z ver.]」(2012年ベストアルバム『YUZU YOU [2006-2011]』)からライブはクライマックスへ。「夏色」(1998年シングル)の一部は写真撮影OK。北川、岩沢がフロートでアリーナを1周、観客は“もう1回!”と書かれた団扇を振りまくり、会場全体に笑顔が広がる。

ゆず(写真=中島たくみ、森リョータ)

 心地よく飛び跳ねるバンドグルーヴとともに〈楽園は僕らが 見つけんだ〉というフレーズを思いきり響かせた「RAKUEN」(アルバム『SEES』)でさらなる解放感を演出した後、北川がオーディエンスに向かって語りかけた。全国のファンに会えたことで、「いいツアーになる」と確信を持てたこと、こんなに幸せな25周年になるとは思っていなかった、と。そんな言葉に対して観客は、この日いちばんの拍手で気持ちを伝える。「やろうと思っても、どうやってもできないことがあると知りました。でも、同時に、知恵を絞って、工夫をすればできることもたくさんあると知りました。これからどんなことが起きるかわからないけど、俺たちは知恵とアイデアとユーモア、そして、みんなへの愛で乗り越えて、必ず音楽を届けようと思っています」という言葉からは、このツアーのなかで得た確信と自信が真っ直ぐに伝わってきた。

ゆず(写真=中島たくみ、森リョータ)

 ラストは、ツアータイトルにもなっている「ALWAYS with you」。ゆずの音楽はいつもみんなのそばにある。あまりにも真摯な姿勢に貫かれたこの曲は、現在のゆずの本質そのものだったと思う。

 2作のアルバム『PEOPLE』『SEES』のリリース、そして4年ぶりの全国アリーナツアーと追加公演。未曽有の事態の中でも、“音楽を届け続ける”という一心で活動を継続してきたゆずはこの日、大きな音楽の実りを手に入れた。そんな手応えがしっかりと残るステージだった。

ゆず(写真=中島たくみ、森リョータ)

■セットリスト
00.Overture~PEOPLE to SEES~
01.君を想う
02.ストーリー
03.ゆめまぼろし
04.イセザキ
05.AOZORA(YZ ver.)
06.アゲイン
07.タッタ
08.明日の君と
09.あの手この手
10.栄光の架橋
11.奇々怪界-KIKIKAIKAI-
12.LAND
13.夢の地図
14.NATSUMONOGATARI~桜木町メドレー
15.センチメンタル
16.T.W.L [Y.Z ver.]
17.夏色
18.RAKUEN
19.ALWAYS with you

■配信情報
配信ライブ『YUZU ARENA TOUR 2022 SEES -ALWAYS with you-』
2022年9月3日(土)19:30開場/20:00開演
ライブ本編+ゆずアフタートーク
※8月14日(日)さいたまスーパーアリーナ公演の模様を配信。
配信プラットホーム:Rakuten TV
見逃し配信期間:公演終了後、9月4日(日)23:59まで
視聴チケット販売中 特設サイト:https://yuzu-official.com/pages/peopletour#online-live

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる