22/7、歴史を継承しながら届けたグループの現在形 新編成でのユニット曲も披露した『ナナニジ夏祭り 2022』レポ

22/7『ナナニジ夏祭り 2022』最終公演レポ

 デジタル声優アイドルグループ・22/7(ナナブンノニジュウニ)が8月11日、5都市を巡ったライブツアー『ナナニジ夏祭り 2022』のファイナル公演をKT Zepp Yokohamaで開催した。今春、新メンバー8人が加入してすぐに迎えた『LIVE TOUR 2022「14」』を経た22/7だが、本ツアーではさらに披露楽曲のバリエーションを広げ、現体制としてパフォーマンスのスタイルを拡張させていることを示した。本記事では11日に行なわれた昼夜2公演のうち、夜公演についてレポートする。

 ツアータイトルに掲げた「夏祭り」のコンセプトに似つかわしく、提灯や紅白幕、やぐらをモチーフにしたセットを舞台に、開演前から祭囃子が流れて季節感を演出する。そこから一転、「OVERTURE」がライブのスタートを告げ、「好きと言ったのは嘘だ」から公演が始まる。続いてライブを加速させる定番曲「韋駄天娘」が披露され、冒頭ブロックで早くも熱量を上げていく。

 MCを挟んだのち、中盤~後半に至るブロックでは、これまでの22/7の歩みを引き継ぎながら、新たな体制での景色を次々に切り開いてみせる。「ヒヤシンス」や「理解者」といったグループの代表的な楽曲では、春のツアー『14』での披露時以上に、現体制のバランスに馴染んだ表現を見せた。一方、グループ初期の佇まいを思い起こさせる「地下鉄抵抗主義」や、TVアニメ『22/7』放送時期からの記憶を引き継ぐ「空のエメラルド」や、パフォーマンスに彼女たちの意志の強さが表れる「僕らの環境」なども、今ツアーでは新メンバーを加えての形でパフォーマンスし、22/7の歴史を継承しながら現在形を伝えるようにしてライブは進行する。

 さらにグループの過去から現在、そして未来像までを思わせたのが、ユニット楽曲のブロックだった。新たなメンバー編成となった“気の抜けたサイダー”、“晴れた日のベンチ”、“蛍光灯再生計画”の3ユニットが、それぞれに「ソフトクリーム落としちゃった」「半チャーハン」「タトゥー・ラブ」を披露。これらの楽曲が発表された6thシングル時からのメンバーたちが描いてきた色に、新メンバーがフィットしつつ作品を現体制のものにしていく。またその中で、メンバーが完全に一新された“晴れた日のベンチ”は、22/7のユニット楽曲のなかでも際立つキャッチーさをもつ「半チャーハン」を鮮やかにリニューアルし、先達メンバーからバトンを受け継ぐ象徴となった。

 さらに、最新の9thシングル『曇り空の向こうは晴れている』に収録の各ユニット最新曲も披露する。気の抜けたサイダーはやはりマイペースなスタイルが健在の「カントリーガール」を、晴れた日のベンチはダンスのアクティブな展開が印象的な「君は誰だ?」を、蛍光灯再生計画は指差しやマンガ本をかざしてみせるような手の振りで世界観を作る「読みかけの漫画」をパフォーマンス。それぞれのユニットコンセプトも再確認するように、新たな作品を表現してみせた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる