三宅健が大切にするクリエイティビティ 「43才、職業アイドル」が作品を通じて届けるメッセージ
アイデアを形にするのもすごいこと。だが、それをやり続けることはもっとすごい。これはアイドルになるだけでなく、アイドルをやり続けることのすごさにも繋がってくるように思える。誕生日を迎えるたびに「奇跡の◯才」を更新し続ける三宅もまた「アイドル・三宅健」を毎日作り続けているアーティストと呼べるのではないだろうか。
作品の造形そのものはもちろん、制作する目的や作品が持つ概念、そこから汲み取ることができるメッセージを重視した“コンセプチュアルアーティスト”への憧れを語る三宅のこと。もしかしたら今後のソロ活動では一つひとつの作品が作られた意味や、そこからにじみ出る三宅のアイデンティティを感じることができるのではと胸が高鳴る。
実際に、三宅がかつてプロデュースしたV6の楽曲「Remember your love」のMVを見返しても、単にアイドルが歌う美しい姿を収めるだけでなく、その歌の世界観を表現しようという舞台的な演出が見て取れる。線画で描かれたようなネオン管の部屋で歌う姿は、忘れられない恋人を思い、過去に囚われたままの男を表現しているという。シンプルな作りから、じわりと伝わる後味は、どこかTodayシリーズと通じるかもしれない。
そんな三宅が打ち出すミニアルバム。さっそくそのタイトル『NEWWW』には「アイドルの固定観念を覆す新しい価値観、新しいアイドル像」を打ち出していく思いが込められていると語られているが、個人的には“WWW”の部分が6つの“V”に見えてきたのだがどうだろうか。三宅が示す新しいアイドル像のベースにはV6がいる……なんて見方ができるのも、作品の受け手の楽しみのひとつだと思いたい。
また『NEWWW』は、三宅が一緒に作品を作りたいと思うアーティストとコラボしていくことも発表されている。全6曲入りCDを含む計4形態の発売を予定しており、音楽面のみならずジャケットやMVなどのクリエイティブ面も気になるところ。
V6のツアーグッズでは人気イラストレーターの長場雄とのコラボが大好評だっただけに、さらにアイドル×アートの可能性が広がるのではないだろうか。『三宅健とめぐるアート。』(東京新聞)の連載を持つほど、現代アート鑑賞が趣味という三宅が、今後どんなアーティストと新たな「アイドル・三宅健」を体現していくのか、非常に楽しみだ。