RADWIMPS、不条理に抗うアティテュード ドラマ『石子と羽男』主題歌で伝える“声を上げる大切さ”

〈涙で濡れた君のその声が  この世界の/罵詈雑言、不条理、妄言に  溺れたりなんかしないように/空の青さに  余りある広さに負けぬよう/気高くずるく  ここで抗ってる〉

 野田は、この曲を通して、一人ひとりの視聴者とリスナーに、胸の内に秘めた感情に蓋をすることなく「声を上げよう」と優しく語りかける。声さえ上げれば、助けてくれる人と出会うことができる。この世界を、少しずつでも確かに変えることができる。それは、このドラマの根幹のメッセージそのものだ。そして、そのメッセージは、これまで音楽活動を通してこの世界の不条理に抗い続けてきたRADWIMPSが歌い鳴らすからこそ、確かな説得力をもって響くのだと思う(例えば、2019年の「愛にできることはまだあるかい」や2020年の「新世界」「ココロノナカ」も、残酷で不条理な世界に対して友愛をもって立ち向かうための歌であった)。

 今回の主題歌のタイトルとなっている「人間ごっこ」とは、人間でありながら、人間らしい生活、人生を送ることができずにいる私たちの日々の営みを指すのだろう。しかし野田は、そうした現状を客観的な立場から単に皮肉って終わるのではなく、この社会を生きる一人の当事者として、私たちと同じ痛みや哀しみを抱えながら、懸命にこの現実に対して抗おうとしている。その表現者としてのアティテュードは、とても信頼できるものだ。

 最後になってしまったが、「人間ごっこ」におけるサウンド面の挑戦についても書き記しておきたい。編曲には、近年のONE OK ROCKの楽曲「Wasted Nights」「Changes」などの制作にも参加している音楽プロデューサー Pete Nappiが名を連ねており、ボーカルチョップ、オートチューン、EDMにおけるドロップといった要素が大胆に取り入れられている。

 これまでもRADWIMPSは、ロックバンドという表現形態に縛られることなく、新しい方法論に果敢にトライし続けてきたバンドであるが、今回はその挑戦のギアがさらに何段階も上がったような印象を受ける。この楽曲が、この夏の毎週末を彩っていくと思うとワクワクするし、今後のRADWIMPSが重ねていく音楽的挑戦にも期待が膨らむ。これからも彼らには私たちリスナーの想像を超えるような音楽の創造に挑み続けてほしい。

※1:https://www.tbs.co.jp/ishikotohaneo_tbs/theme/

RADWIMPS「人間ごっこ」

■リリース情報
RADWIMPS「人間ごっこ」
7月22日(金)配信
ダウンロード/ストリーミングはこちら

■ドラマ情報
金曜ドラマ『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』
7月15日(金)スタート 毎週金曜22:00〜22:54
・出演者:有村架純 中村倫也 赤楚衛二 おいでやす小田 ・ さだまさし
・脚本:西田征史 
・プロデュース:新井順子
・演出:塚原あゆ子 山本剛義
・編成:中西真央 松岡洋太
・製作:TBSスパークル TBS
(c)TBS

RADWIMPS 公式ホームページ

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