Mr.Children、30周年記念ツアー『半世紀へのエントランス』日産スタジアム公演完全レポ 彼らにしか実現できない奇跡的ステージ

ミスチル、日産スタジアム公演完全レポ

 アンコールでは、まず「みなさんにとって“あの曲、聴きたいんだけど、まだ聴けてない”という曲もあると思います。次の曲がその曲になるといいなと思います」(桜井)と「HANABI」を演奏。〈もう一回 もう一回〉に合わせ、オーディエンスが人差し指を掲げ、じんわりとした感動に包み込まれる。

 ここでメンバー紹介。鈴木は「こんばんはー! やっと会えましたね」と挨拶。ライブのスタッフ、これまでバンドを支えてきた人たちへの感謝を述べ、(ドラムを叩きながら)「そして! あなた方がいないと僕らはここに立てないのでございます!」と絶叫。中川は「ライブのアンケートで“ありがとう”と書いてあると、“僕らのほうこそありがとうなんだけどな”と思います」と話し、「みなさんのエネルギーを浴びてると、僕らが行きたいところ、鳴らしたい音、届けたい音楽を見つけるための後押しをしてくれるような気分になります」と言葉を重ねた。そして田原は「今日もたくさんの曲を演奏しました。みなさんがとてもとても愛してくれた曲、すごく応援してくれた曲、大切にしてくれた曲たちです。それを演奏しているとみなさんの思いが海洋の光のようにキラキラしていて、本当に美しかったです。どうもありがとう」と語った。

Mr.Children(写真=渡部 伸、樋口 涼)

「もっともっといいステージができるように、さらにいい音を、声を目指していきたいなと思います。どうか次にライブをやるときは、マスクを外して、みなさんのでっかい声を、歌を聴かせてください。それまでみんな元気で。きっとこの2年間大変だったけど、強く、逞しく、楽しく過ごしていけたらなと思ってます。そんなメッセージをそのまま曲のタイトルにして、最後にお届けしたいと思います」(桜井)

 ラストは新曲「生きろ」(映画『キングダム2 遥かなる大地へ』主題歌)。〈行く先々で 触れ合う温もり 優しさが苦しくて 幻だと言い聞かせ跳ね返した〉という歌詞は、まさにMr.Childrenの軌跡そのものだ。音数を削ぎ落した力強いバンドサウンド、喜怒哀楽を解き放つようなボーカルを含め、今のMr.Childrenのすべてが凝縮された素晴らしい楽曲だ。

 2014年のシングル『足音 ~Be Strong』からセルフプロデュースとなり、それまで以上に生々しいバンドサウンドを求め始めたMr.Children。その後も様々なトライ&エラーがあったことは想像に難くないが、それから8年が経過し、4人はキャリア史上もっとも強靭で、もっともしなやかな音、そして、日常と普遍を自然につなげるような言葉を手に入れた。今回のツアーで彼らはそのことをはっきりと証明したのだと思う。

 誤解を恐れずに言えば、このバンドは決して最初からすべてを持っていたわけではない。楽曲の制作やライブを丁寧に重ねながら、少しずつ様々な壁を登ってきた。でも、だからこそ、我々はこんなにもMr.Childrenの音楽を身近に感じ、こんなにも心を揺さぶられるのだ。

 彼らはまだ“半世紀へのエントランス”をくぐったばかり。40周年、50周年を目指し、新たなスタートを切った4人の軌跡を、日本中の音楽ファンと共有していきたいと心から願う。

■セットリスト
1.終わりなき旅
2.名もなき詩
3.海にて、心は裸になりたがる
4.シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~
5.innocent world
6.彩り
7.口笛
8.車の中でかくれてキスをしよう
9.Sign
10.タガタメ
11.Documentary film
12.DANCING SHOES
13.LOVEはじめました
14.フェイク
15.ニシエヒガシエ
16.Worlds end
17.永遠
18.others
19.Tomorrow never knows
20.光の射す方へ
21.fanfare
22.エソラ
23.GIFT

En1.HANABI
En2.生きろ

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