DEZERTが打ち出した「#V系って知ってる」の秀逸さ X JAPAN YOSHIKIらも参加、シーン活性化につながるSNSの活用法
「V系って知ってる?」という打ち出しにも注目したい。このメッセージは、V系ファン以外の広い層へ向けられたものだが、90年代から活躍するレジェンド的なバンドの存在もあり、“V系”というワードはすでに世間に浸透している。以前、V系アーティストが2次元作品でどう描かれてきたかを題材した記事(※1)でいくつかの作品を紹介した通り、近年は2次元作品など、バンド以外のジャンルにV系要素を加えたコンテンツが注目を集める機会も増えてきた。しかし、実際に今活動しているリアルなV系バンドに触れたことのある人は限られている。そう考えると、「V系って知ってる?」と呼びかけたこのワンマンライブの広告は、「自分たちのライブこそがリアルなV系を知れる場所だ」という自信に満ちた挑戦状のように思える。
近年、多くのバンドがV系シーンを盛り上げるために旗揚げをしてきたが、その取り組みはライブが中心だった。たとえばアルルカンは、2021年に主催したイベントライブ『束の世界-SONOSEKAI-』にlynch.、vistlipら先輩バンドに加え一般公募から選んだ新人バンドのnuriéを呼び、下の世代にもスポットを当てた。BugLugは、注目のV系アーティストを集めたフェス『バグサミ』を毎年夏に開催し、多くのV系ファンを楽しませている。当のDEZERTも、2017年から2018年にかけて『This Is The “FACT”』と題したフェスやツアーを開催し、様々なV系バンドと共に全国を回ってきた。
このように、今までは「シーンの活性化を目指すために、まずはこのライブを盛り上げよう」という流れがスタンダードだったように思うが、今回は「まずはネット上でシーンを盛り上げ、そこからライブへ誘導しよう」と、別の角度からアプローチが行われている。今後は、リアルな現場であるライブを盛り上げるのと共に、ライト層含むより広い層を巻き込みやすいSNSでのプロモーションにさらに力を入れるバンドが増えていくかもしれない。
※1:https://realsound.jp/2021/08/post-833789.html