新譜連載「本日、フラゲ日!」
Sexy Zone、日向坂46、millennium parade、chelmico、BoA……今週リリースの新譜5作をレビュー
毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は5月30日リリースのBoA『The Greatest』、6月1日リリースのSexy Zone『ザ・ハイライト』、日向坂46『僕なんか』、millennium parade『Secret Ceremony / No Time to Cast Anchor』、chelmico『gokigen』の計5作品をピックアップした。(編集部)
Sexy Zone『ザ・ハイライト』
シングル曲「LET’S MUSIC」「夏のハイドレンジア」を含む8thアルバム『ザ・ハイライト』の基調となっているのは、ここ数年、世界的な潮流となっている80〜90年代のリバイバル。きらびやかなシンセのリフ、電子ドラムの音色を活かしたトラックを軸にしたポップチューン「Forever Gold」は、本作のコンセプトを象徴する楽曲と言えるだろう。JQ(Nulbarich)が手がけた、濃密なファンクネスを放つダンストラック「THE FINEST」、岡崎体育の作詞作曲によるコミックソング(だけどめちゃくちゃハイクオリティ)「休みの日くらい休ませて」など独創的なコラボレーションも聴きどころ。誰もが楽しめるエンタメ性、メンバーの志向に裏打ちされたアーティスト性の高さがバランスよく共存した充実作だ。(森)
日向坂46『僕なんか』
3月の東京ドーム公演では、これまで計4回シングル表題曲のセンターを務めてきた小坂菜緒が、約9カ月にわたる長期休養を経て再びステージに立った。小坂と共に、一つの大きな目標として掲げてきた東京ドームの舞台に立てたことは、きっとメンバーたちにとって何ものにも代え難い大切な経験となったはず。そして小坂の休養中、ライブ活動や前作シングル『ってか』の制作において、センターをバトンタッチしながら日向坂46の表現を更新し続けてきた彼女たちは、以前にも増してとても強くたくましいグループになったと思う。今回、小坂が再びセンターを担った表題曲「僕なんか」は、そうしたグループとしての芯の強さを表す力強いロックバラードだ。そして、儚く可憐な輝きを誇る同曲の美しいメロディは、小坂の存在そのものを表しているようで、とても感動的な響きを放っている。なお、今作の活動をもって渡邉美穂がグループを卒業することが発表されている。22人で過ごす最後の季節を象徴する今作は、一言で表してしまえば、とても切ない。しかし同時に今作には、未だ見ぬ未来を目指すポジティブなエネルギーが溢れている。グループの歩みは、東京ドームの先へと続いていく。(松本)
millennium parade『Secret Ceremony / No Time to Cast Anchor』
Netflixで5月23日より配信がスタートしたアニメ『攻殻機動隊 SAC_2045』シーズン2。主題歌は前作に続きmillennium paradeだ。OP主題歌「Secret Ceremony」は、クラシカルなオルガンの音色、ややレイドバックしたビート、重層なストリングスが響き合うミディアムチューン。静謐を内容したまま爆発するようなメロディを含め、2022年の賛美歌と呼ぶべき狂おしい楽曲だ。そしてED主題歌「No Time to Cast Anchor」は、MELRAWのトランペットとフルート、現行のオルタナR&Bをドープに進化させたサウンドが印象的なナンバー。先鋭性、普遍性、エンタメ感を同時に放つ、このグループの真髄が発揮されたシングルに仕上がっている。実写とCGを融合させたアニメのOP映像もmillennium paradeが担当し、前作以上に濃密なコラボレーションが実現。(森)