LE SSERAFIM KAZUHA、NCT SHOTARO、ENHYPEN NI-KI……日本人メンバーのチッケムはなぜ再生される? 専門家に聞いた

 こうした明確な個性が引っかかりとなるという点は、チッケムがきっかけとなり注目を集めている日本出身メンバーが多い背景に繋がっているそうだ。

「これまでのK-POPシーンにとって新たな表現力を持つアーティスト、韓国にはなかなかない個性を持つダンサーというのは日本には確かにいらっしゃって、彼らはK-POPシーンでとても目を引く存在になっています。これには、日韓のダンス教育の違いも作用していると思います。韓国では、初めに決まった基礎形をじっくりと定着させ、それから各自のジャンルを選ばせるスタイルが主流です。一方、日本では初めから一つのジャンルを選ばせ、それを突き詰めるパターンが多い傾向にある。さらに4~5年前までのK-POP志望者はダンス初心者が多かったのですが、最近ではダンス経験者が増えてきています。もともとダンサーを目指していた方々が、K-POPシーンを目指す傾向が強まっている。そのため、一つのジャンルに特化した方が、K-POPのダンスメソッドを身につけるといった流れになってきているかと思います。LE SSERAFIMのKAZUHAさんはその顕著な例で、バレエを本格的に身につけたうえで、それだけではない様々なジャンルが融合した踊り方になっているのが独自の魅力ですよね。このように、それぞれの強みが軸にありながらK-POPのスタイルを取り入れることで、多様な色合いが見える踊り方になっているところが日本出身メンバーの強い個性となり、K-POPシーンで目立つ武器となっているのではないでしょうか」

 バレリーナからK-POPアーティストへ転身を遂げたKAZUHAは、そのきっかけとして「K-POPのような他のジャンルで、いろいろな表現ができるステージをしたいという気持ちが生まれました」(※2)と語っていた。新たなフィールドに活躍の場を拡げた彼女たちは、K-POPシーンにとっても新鮮な表現をもたらす存在となるだろう。

 最後に、長年指導にあたっているジクス氏はこのように語った。

「受講生の話を聞いていると、影響を受ける存在としてTWICEを挙げる声は根強いですね。TWICEはデビューから日々進化や変化を起こし続けているグループの一つで、ダンスについても初期と現在だとスタイルが全く違ってきています。さらにモモさん、サナさん、ミナさんのように、日本からK-POPの世界に飛び込み、長きにわたって第一線を走り続けながら常に進化を求めるような非常に高い意識を持っている先輩の存在は、受講生にとって素晴らしい刺激になっています。彼女たちをはじめ、さまざまな日本出身メンバーの活躍は、これからさらなる新たな道を切り拓いていくことと思います」

※1:『音ボケPOPS』2022年5月14日放送
※2:https://magazine.weverse.io/article/view?lang=ja&num=400

■チェ・ジクス
韓国・慶尚南道河東郡出身。韓国語・日本語・中国語が堪能。2011年に日本の新大久保で行われたK-POP歌手育成プロジェクトの候補生として3か月参加したが落選。その後韓国語講師、K-POP歌手などの通訳を行いながら、横浜韓国語アカデミー、YKA dance studio、YKA Entertainmentを横浜で設立。現在は当時の活動から得たK-POP歌手との繋がりだけでなく、韓国の事務所との独自のパイプラインを持ち、自身の練習生経験から韓国のK-POP界で活躍できる日本人をプロデュースしている。

■YKA dance studio
神奈川県横浜市港北区小机町2565-2 グリーンビル小机B1F
https://yka-dance.com/

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる