つばきファクトリー、ファンの心に刻んだ“一生忘れられないパレード” 12人でにぎやかに飾った2度目の武道館公演

つばきファクトリー2度目の武道館レポ

 つばきファクトリーが5月16日、自身2度目となる日本武道館単独公演『つばきファクトリー CONCERT TOUR 〜PARADE 日本武道館スッペシャル〜』を開催した。昨年10月に行われた初の武道館公演では、当時加入して間もなかった新メンバー4人(河西結心、八木栞、福田真琳、豫風瑠乃)がパフォーマンスに参加しない楽曲も多くあったため、今回が本当の意味で12人体制になって最初の大舞台であるとも言える。ここでは、3月20日より開催中の単独コンサートツアー『つばきファクトリー CONCERT TOUR 〜PARADE〜』などを通じて高めてきた彼女たちの結束力が遺憾なく発揮された本公演の模様をレポートする。

 この日の会場は、ハロー!プロジェクトの武道館コンサートで近年恒例となっていた360度を客席に囲まれるセンターステージスタイルではなく、北スタンドを背にした通常のステージを組む方式が取られた。デベソと呼ばれる位置にはサブステージが、メインステージの左右には横方向へ伸びる花道が用意され、さらにメインステージ上には3段の大きなひな壇を設置。さまざまな立ち位置を使った多様な演出を可能にする舞台レイアウトだ。

 開演に先立ち、まずはオープニングアクトを務めるOCHA NORMAがステージに現れ、「恋のクラウチングスタート」を披露。元気いっぱいの歌とダンスで会場を温めた。そして開演時刻を迎え場内が暗転すると、大がかりな照明によるダイナミックな光の演出に合わせてダンサブルなオープニングSEが鳴り響き、メンバーが1人ずつスポットライトを浴びてポーズを決めながら登場。白とブルーを基調とした揃いの衣装に身を包んだ12人が横一列に整列すると、おもむろに小気味いいエレキギターのカッティングが轟き、浅倉樹々の「行くぜ武道館!」という掛け声とともにハイテンションな四つ打ちダンスナンバー「マサユメ」で公演の火ぶたが切られた。

 さらに、これまたシャープなカッティングギターが印象的なミディアムディスコチューン「涙のヒロイン降板劇」、アダルトなムードのEDMナンバー「約束・連絡・記念日」、スラップベースとシンセブラスが映えるファンキーな「笑って」が畳み掛けられる。岸本ゆめのによるフェイクパートをはじめ、各メンバーの伸びやかなロングトーンを存分に味わえる楽曲を集中的に連発することで、つばきファクトリーというグループがハイポテンシャルなボーカリスト集団であることを改めて強く印象づける滑り出しとなった。

 4曲を続けざまに披露した12人は、ここで一旦サブステージに整列。1人ずつが順番に意気込みを述べていく中、豫風は「よっふー! 今日は皆さんと全力でがんば・るのー!」と自身の名を最大限活用した決めフレーズで元気いっぱいにアピールし、福田は「12色の中の青ツバキとして、今日も咲き誇りたいと思います」とメンバーカラーを絡めた表現で宣言。秋山眞緒からは「私たちから1秒たりとも目を離さないでください!」との指令が下され、小野瑞歩はぐるぐる回転しながら全方位へ向けて「武道館、ただいまー!」と帰還の喜びを爆発させる。そしてリーダーの山岸理子は「2度目の日本武道館公演。一緒に“夢の続き”を楽しみましょう!」と力強く呼びかけた。

 MCに続いては、初披露となる新曲「弱さじゃないよ、恋は」などを経て、セリフをフィーチャーした楽曲を集めたノンストップメドレーに突入。「初恋サンライズ」「ハナモヨウ」「イマナンジ?」「I Need You 〜夜空の観覧車〜」「低温火傷」「純情cm(センチメートル)」の6曲がシームレスにパフォーマンスされていった。メドレーの冒頭は12人が思い思いにマイムを演じたのち、浅倉による語り「本当は…私のすべてを見せたいの」で始められたほか、「スキ、キライ、スキ…」「駅まで送るよ」「ねぇ、私のことどう思ってる?」「心がジリジリしてるの…」「告白しても、いいですか?」といったセリフパートがさまざまなメンバーから次々に発せられ、会場に集まったファンのハートを続々と撃ち抜いていく。メドレーのラストは、新沼希空の「振り向いてよ、私だけに」という語りで締め括られた。

 そしてコンサートは、もうひとつの初披露曲となるハードな四つ打ちディスコナンバー「アドレナリン・ダメ」などを挟み、比較的アッパーな楽曲が連発される怒涛の後半戦へ。「ガラクタDIAMOND」や「断捨ISM」「今夜だけ浮かれたかった」といったハード系EDM歌謡が次から次へと惜しみなく投入されていく中、「だからなんなんだ!」では小野田紗栞が1人でサブステージに立ち珍妙なダンスを無表情で踊り続け客席の笑いを誘う一幕も。本編ラストにはハッピーなソウルナンバー「愛は今、愛を求めてる」がパフォーマンスされ、メンバーは満面の笑みを浮かべながらステージをあとにした。

 アンコールを要求する客席からの「つ・ば・き」を表す3拍子のハンドクラップが鳴り響く中、花柄のセパレート衣装に着替えたメンバーたちがステージに再登場。すると、横並びになった12人はおもむろに自分たちの体を無言で叩き始め、さらに手拍子や足踏み、フィンガースナップなども駆使しながらプリミティブなリズムミュージックを作り上げていく。これは体ひとつでリズムを表現するボディパーカッションと呼ばれるパフォーマンスで、この日のためにグループとして新たに挑戦したものなのだという。途中には「アルプス一万尺」の振りも取り入れるなど、遊び心の注入も抜かりない。

 さらには、観客にもボディパーカッションの実践を要求。メンバーによる指南のもと、場内で打ち鳴らされるリズムがおおむね揃ってきたタイミングで「表面張力~Surface Tension~」のオケが滑り込んでくる。この演出によってアンコールのパフォーマンスはあれよあれよと見事な流れでスタートし、間奏ではオーディエンスの生み出すリズムに乗せて秋山のラップが飛び出すサプライズも。会場のボルテージは一気にピークを迎えたのだった。

つばきファクトリー 武道館

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